尚円王生誕の島で「琉球王国」に触れる

琉球歴史探訪 伊是名島

琉球王朝との関わりが深い歴史的遺構と自然が織りなすダイナミックな景観が魅力の島

雄々しく、荒々しく、猛々しく……。山深いわけでもないのに、そんな印象を受ける伊是名島は、東シナ海に浮かぶ離島です。本島北部、今帰仁の運天港から「フェリーいぜな」でわずか55分。歴史と自然の見どころが満載の島の玄関口・仲田港に到着します。史跡と雄大な自然が魅力の島巡りへご案内しましょう。

伊是名島

伊是名島の絶景ポイント。さんかく山のシルエットが美しい

歴史

尚円王

伊是名の誇り、尚円王の金丸時代の像。指さす先は沖縄本島だと言われています

伊是名の百姓から琉球国王となった尚円王

尚円王とは、琉球王国第二尚氏王統の初代国王です。即位以前は金丸(かなまる)と名乗っていました。父を手伝い、農業を生業としてきましたが、24歳のときある事件をきっかけに伊是名を出、本島北部の国頭村から琉球王朝の中枢である首里へのぼったところ、めきめきと頭角を現し、仕官14年目にして自らの領地を持つまでに出世しました。

金丸はその後も順調に出世し、第一尚氏のお家騒動を機に次期国王へと推す声が高まり、ついには琉球王国国王へとのぼりつめたのです。こうして、それまで続いた第一尚氏王統は終わりを告げ、第二尚氏王統の始祖となった金丸は「尚円王」と名乗るようになりました。

島内を歩いて尚円王の痕跡を探す

国王となった尚円王は、伊是名島を首里の直轄地としました。そのため離島でありながら、尚円王の親族は名家として名を残すことになるのです。

伊是名島を歩くと、いたるところで尚円王ゆかりの場所に遭遇します。島民が大切に守り、讃え、そうして尚円王は今なお伊是名に息づいているのです。

島内に残る史跡と、それに関連した伊是名の見どころをご紹介します。

みほそ所

みほそ所

尚円王が生まれた屋敷跡にあり、へその緒が埋められているといわれています。この一帯は、現在は公園として整備されており、碑はあまり目立たないところにたたずんでいます。道を挟んで向かい側には、尚円王が馬に乗るときに踏み台にしたといわれる石「くだみ石」もあります

みほそ所の隣にあり、さまざまな祭事を行う際に使用されます。沖縄本島北部から奄美諸島にかけて分布していますが、茅葺きという伝統的な様式を備えているものの現存数は少なく、その希少性から沖縄県の有形民俗文化財に指定されています。

逆田

逆田

ただの田んぼ跡のように見えますが、 尚円王を語るうえで外せない遺構です。金丸が農業を営んでいた当時、この水田は水が涸れることがなかったといいます。その理由は、わき水が直接流れ込んでいたためなのですが、ほかの農民からは「水泥棒」の疑いをかけられてしまいました。身の危険を感じた金丸は、妻と弟を連れて沖縄本島へと渡ったといわれています。

今夏オープンしたばかりの、米粉麺を使った料理を提供する食堂。逆田事件にもあるように、伊是名島は古くから稲作が盛んでした。今では沖縄でも有数の米どころといえるでしょう。太陽食堂では、米を選別する際に出るくず米に着目し、米粉麺を開発。もちもちとした食感と、どんな料理にも合わせやすい味わいは、一度食べてみる価値アリ!

伊是名城・玉御殿

伊是名城・玉御殿

離島でありながら、城跡からも規模が窺い知れる伊是名城。築城は13世紀~14世紀、第一尚氏王朝の尚巴志王の叔父である佐銘川大主(さめかわふしゅ)が築きました。尚円王とのゆかりはありませんが、のちに城の麓に築かれた玉御殿=王家の墓には、尚円王の父母、姉、親族が眠っています。

伊是名城跡から伊是名集落へと向かう海沿いの道のいたるところで、この看板を見かけます。「サムレー」とは「侍」のこと。島唯一の侍と呼べる銘苅家の屋敷から城跡まで、城勤めのために整備された道です。山越えの道であるため、島民が日常的に使う道ではありませんが、歴史を感じながら散策するにはおすすめです。

自然信仰集落

島に生きる人々が大切に守ってきたもの

伊是名の見どころ、もうひとつの柱となるのは雄大な自然。ダイナミックな景観は男性的であり、ときには神々しいまでの厳しさを感じさせます。そういった奇岩や山々に、古の人々は神を見たのかもしれません。

離島での自然と信仰と生活はいつも三位一体で、神への畏怖と先祖への崇拝を重ねあわせ、人々は暮らしてきました。それは変わらないことのよさを知っているかのように、長い時間を経てなお受け継がれています。ここではそのいくつかをご紹介します。

海ギタラ・陸ギタラ

海と陸にそびえる2つの奇岩。「ギタラ」とは、島の言葉で「切り立った岩」を意味します。海にあるのが「海ギタラ」、陸にあるのが「陸(あぎ)ギタラ」です。この奇岩周辺は、神が降り立った聖域として、人々に守られてきました。

アハラウタキ

伊是名島でもっとも神聖な場所として崇められてきました。その証拠に、海ギタラ・陸ギタラはもちろん、伊是名城跡のさんかく山までが見下ろせる位置に御嶽は建てられています。「アハラ」とは、伊是名方言で「明るく照らす」という意味。伊是名の島でいちばん最初に神が降り立ったこの場所が、暗い世界を明るく照らす太陽のように今も島を守っています。

サンゴの石垣

伊是名島には全部で5つの集落があります。なかでも「伊是名」と「勢理客(せりきゃく)」では、離島独特の雰囲気をそのまま残した静かな村並みが見られます。特筆すべきはサンゴでできた石垣。海に囲まれた島らしい雰囲気のなかをそぞろ歩いてみましょう。

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