旅人の憧れ
沖縄の原風景が残る伊平屋島で
歴史探訪と島食材の料理体験

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沖縄県最北端の有人島、伊平屋島(いへやじま)。昔ながらの原風景が残る集落、島の約7割が山に覆われ起伏に富んだ地形とため息が出るほど美しい青い海、伝説が語られる神聖な洞窟。島食材を使ったとっておきの料理体験もできるらしい。琉球王朝始まりの地とも言われるこの島で、どんな出会いがあるのだろうか。

前泊港から出発

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沖縄本島今帰仁村(なきじんそん)の運天港(うんてんこう)から「フェリーいへやIII」に乗って約80分。船酔いを心配をしていたが、きれいな船内には横になれるスペースもあり、広くて快適だ。窓の向こうに広がるエメラルドグリーンの海に胸を弾ませていると、あっという間に到着だ。観光案内所でもらった地図には、伊平屋島の歴史を感じる名所や天然記念物の数々が。どこから周ろうか、気になるスポットが多く迷いながらも出発!

伊平屋島のシンボル、念頭平松

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最初に訪れたのは伊平屋島に行ったら必ず見たいと思っていた念頭平松(ねんとうひらまつ)。国指定天然記念物だ。高さ8メートル、最長幅28メートル、幹の太さ4.5メートルのその樹齢は280と言われている。島の人々の暮らしを見守ってきたその姿はたくましく、美しい。山を背にする念頭平松の姿は荘厳で、海を背にする姿は島を包み込むあたたかささえ感じる。見る角度によって様々な表情を見せてくれるので、ゆっくり一周するのがおすすめ。

天の岩戸伝説が残る神秘の空間、クマヤ洞窟

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次に向かったのは天照大神(あまてらすおおみかみ)が隠れたという天の岩戸伝説が残る最南端の地、クマヤ洞窟。沖縄県指定天然記念物だ。28000万年もの昔、岩石が波や風によって侵食されてできた洞窟だという。階段を登ると、岩の間に人ひとり通るのがやっとと言うほど狭い入り口が。足元に気をつけながらくぐり抜ける。ひんやりとした風を感じ顔を上げると、突然、入り口の狭さからは想像できないほどの広い空間が姿を表す。暗く、静まり返る洞窟の奥から入り口の方を見上げると、差し込む光が幻想的だった。昔から、島の人々の祈りの場として使われてきた神秘の場所。感謝の気持ちで手を合わせる。

我喜屋の神アシアゲ

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続いては、我喜屋(がきや)集落の外れにある我喜屋の神アシアゲ(かみあしあげ)へ。アシアゲとは、琉球の信仰における女司祭である祝女(のろ)が、集落の主なまつりごとを行う神聖な場。沖縄県指定有形民俗文化財だ。サンゴ石灰岩を加工して作られた四本の石柱は高さ70センチ程。這いつくばらないと、中に入れなさそうなほど柱が低い。かつて、この場所で祝女が神事を行なっていた様子を想像すると、同じ場所に立っているのを不思議に感じた。現在でも、豊年祭の時に周りの広場で棒術や古典舞踊が披露されるそうだ。今は、静かでゆったりとした時間が流れているこの場所も、さぞ賑やかになることだろう。次は、豊年祭に合わせて訪れたい。

琉球王国のルーツ、屋蔵墓

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次に訪れたのは、琉球王国を統一させた第一尚氏王統の始祖、屋蔵大主(やぐらうふぬし)が祀られている屋蔵墓(やぐらばか)。屋蔵大主は約600年前、我喜屋集落の上里に住んでいたと伝えられている。屋蔵海岸の岩穴を利用して造られた石積の墓陵は、海に向かって建てられている。この綺麗な海と島をここからずっと見守っているのだろう。

伊平屋集落ぶらり散策

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続いては、昔から変わらぬ風景が残る集落の散策だ。伊平屋村には田名(だな)、前泊(まえどまり)、我喜屋(がきや)、島尻(しまじり)、野甫(のほ)の五つの集落がある。サンゴで積み上げた石垣に赤瓦の屋根、道の両脇にはフクギの木が並び、鮮やかなピンク色のブーゲンビレアが風に揺れている。のんびり散歩していると、笑顔で声をかけてきてくれる島の人々。そのあたたかさに自然と笑顔になる。初めて来る場所なのに、どこか懐かしい。多くの旅人が夢見る沖縄の原風景は、きっとこの島のことだ。そんな風に思いながらゆっくり流れていくときをかみしめた。夫婦やカップルでおしゃべりしながら散策するのも楽しいだろう。

開放的なキッチンで島食材を使った料理体験

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次にやってきたのはキャンプ場にあるようなアウトドアなキッチンスペース。島の食材を使った料理体験ができるとあって楽しみにしていた。今回、料理を教えてくれる「やまんちゅ会」のみなさんが出迎えてくれ、「伊平屋にようこそ!」とシークヮーサージュースを出してくれた。もちろん島で採れたシークヮーサーの生搾り。あまりにも美味しくて一気に飲み干してしまった。

自然の薬草摘み体験

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一息つくと早速、薬草を摘みに行くとのこと。自然いっぱいの伊平屋島ではそこら中で自然に生えている薬草が摘めるらしい。「これはフーチバー(ヨモギ)、これはオオタニワタリ。オオタニワタリは若い芽じゃないと硬いから、中にある若い芽を切ってね。」たった5分ほどでたくさんの薬草を摘むことができた。どんな味がするのだろう。スーパーには並んでいない食材での料理、楽しみだ。

本格的な石窯で薬草ピザ作り

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一つ目のメニューは薬草ピザ。ピザの生地は用意してくれているので、空気を抜くように中心から外へ生地を伸ばしていく。これが意外と難しい、丸くしたいのに細長くなってしまう。アドバイスをいただきながら伸ばしていくとなんとか丸くなってきた!

自家製トマトソースを塗って、先ほど収穫した薬草をのせる。今回使ったのはフーチバー、ンジャナバー(二ガナ)、オオタニワタリ。季節によって使う薬草が変わるそう。たっぷりのチーズとオリーブオイルをかけたら、石窯にピザを入れる。実はここ、普段は伊平屋島の木材を原料に炭を作っている炭工場なんだそう。そこで出来たばかりの炭を使ってピザを焼くという、何から何まで島の材料で作るピザ作りなのだ。わずか2分ほどで焼き上がり!ん~いい香り!焼きたてのピザはもちもちで、少し焦げているところがカリッとして美味しい!薬草は思っていたほど苦味がなくて、食べると口の中に爽やかな香りが広がる。島散策でお腹がすいていたので感動もひとしお!

伊平屋の海水で島豆腐作り

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お次は島豆腐作り。前日から約8時間水に浸けているという大豆をミキサーにかけ、布袋に入れて絞る。「タオルを絞る要領でするとうまくいくよ」と豆腐作り担当の洋子おばぁが教えてくれた。絞ってできた豆乳を火にかけてやさしく混ぜる。ここで普通の豆腐はにがりを入れるのだけど、伊平屋島ではクマヤ洞窟の目の前の海から海水を汲み上げて、そのまま使う。不純物がなく綺麗な海水だからできる伊平屋島ならではの作り方にびっくり。海水を入れてから間もなく固まり、島豆腐の完成!

できたてのお豆腐を食べるなんて初めて。あたたかく、ふわっふわの食感と大豆の甘み、やさしい塩味。なんだかほっこりする味だなぁと思いながら、島散策のことを思い出していた。

初めて来たのにどこか懐かしい、訪れた人を優しく迎えてくれる伊平屋島。派手な観光施設があるわけではないが、そのままの島の風景と豊かな自然が残るこの島は、少し大人の旅人向け。あなたもきっと、心温まる体験ができるだろう。

Information 基本情報

伊平屋島観光協会(担当・金城さん)

住所 沖縄県島尻郡伊平屋村我喜屋217-27 伊平屋村産業連携拠点センター内
TEL 0980-46-2526
備考 歴史探訪&集落散策ガイド1名5,000~6,000円(完全予約制・要相談)
URL

やまんちゅ会

住所 沖縄県伊平屋村字前泊259民宿内間荘内
TEL 0980-46-2503
備考 薬草ピザ体験1名4,000円(材料費込み)

島豆腐作り体験1名2,000円(材料費込み)
共に5名から。完全予約制。
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