愛らしい鳥たちの姿を目に焼き付けよう
野鳥愛好家たちが熱視線を送る
沖縄・粟国島でバードウォッチング!

agu06_12 沖縄本島・那覇市の北西約60㎞にある、三角形の粟国島(あぐにじま)。粟国といえば、製法や素材にこだわり作られた「粟國の塩」がよく知られ、映画のロケ地にもなった島だが、今この島は、野鳥ファンの間で、渡り鳥たちが休息する地として注目を集めているのだとか。これは気になる! ということで、双眼鏡をバッグに詰め、粟国島へ渡ってみることにした。

「フェリー粟国」で渡り鳥たちの休息地をめざす!

agu01_1 白亜のボディーに空色のラインがすっと伸びる美しい「フェリー粟国」。粟国島へ渡る公共交通機関は一日一往復、この船のみだから、旅人も島の方たちもこの船に続々と乗船する。※2018年1月15日より第一航空の那覇-粟国便が運航再開(2018年2月現在)

那覇の泊港を抜けると、船はまもなく東シナ海へ。快走する船があげる海水の飛沫に、虹が浮かんだ。乗船し、船室の絨毯スペースで横になる。同じ海を一生懸命に渡る鳥の姿を思い描きつつ、うとうと…。気がつけば約2時間10分の船旅も終わり、港のずっと向うには粟国島の観光名所である断崖絶壁の岬「筆ん崎」が。大海原から陸に上がれば、なるほどたしかにホっとする。きっと渡り鳥たちも同じ気持ちなんだろうな。

まずは粟国村観光協会を訪ね、旬な情報を集めよう!

agu02 粟国島は、沖縄県の鳥獣保護区に指定されている。そして粟国村観光協会の事務局長、四方正良(しかたまさよし)さんは、この島の鳥獣保護管理員でもあり、保護員として野鳥たちの保護活動をしている。となれば、粟国で野鳥観察を楽しむ前に、ぜひともご本人にお目にかかり、ご指南いただきたい! というわけで港から、定期船にあわせて運行する村営バスに乗り、観光協会を訪ねた。笑顔で迎えてくださった四方さんいわく、「島内をまわる前に観光協会に寄っていただければ、ここ数日の鳥たちの飛来状況や島内の地図をお渡しして、今おススメの観察スポットをご案内できますよ」と。鳥との出会いに、期待が高まってきた。

地図を片手に、多彩な観察ポイントをめぐろう!

agu05 今回、四方さんに教えていただいた野鳥観察エリアは、大きく分けて5つ。まずは、そのうちのひとつ、筆ん崎(ふでんざき)へ。この崖上にあるマハナ展望台からは、大海原はもちろん、渡名喜島や久米島も一望できる。興奮気味に車を降りると、目の前を右へ左へとツバメのような鳥たちが猛スピードで滑空。うわぁ~!と思ったのも束の間、まもなくどこかへ飛び去ってしまった。この日はとても風が強かったので、もう少しゆっくり観察ができそうな次のおススメスポット、西御嶽(にしうたき)の森エリアに移動することに。ここは島の方たちが祈りを捧げる聖域で、木を一本伐採するにも許可が必要となる特別保護区である。森の奥から、小鳥たちのさえずりが聴こえてくる。100年近く手つかずのこの森を縁取る道端で30分ほど待てば、小鳥たちが森から出て来て飛び交う姿を見られると聞いた。

ちなみに四方さんに教えていただいた、その他3つのオススメ観察エリアは、港・海岸、耕作地、それから溜め池。このように多様なウォッチングポイントが点在するからこそ、鳥たちにとっても、好みの場所が見つかる居心地のいい島となっているのだろう。

マナーを守って上手に観察!粟国島バードウォッチングのコツ、教えます!

agu04_1 今のところ、粟国島にガイド同行の野鳥観察ツアーはなく、鳥との出会いを求めるバードウォッチャーは、自分のスタイルで島をめぐることとなる。歩くことを好む方もいるそうだが、今回は観光協会でレンタルした電気自動車でめぐる。車で移動する際の注意点として四方さんからは「そっと車を停めて、ドアの開け閉めの音で鳥を脅かさないように、車内から観察するのがおススメです。ただ、電気自動車はエンジン音が静かなので、人も気づきにくいから走行はゆっくりと」と教えてもらった。また、「双眼鏡は8~10倍くらいの、あまり大きくないものが便利ですよ」とも。初めての場合はその方が観察しやすいのだそう。ちなみにその他の心得は、「大声を出さない」「執拗に鳥を追いかけない」「民地に入らない」とのこと。これなら私も、良き野鳥観察者になれそうだ。

粟国で初確認!?出会いは一期一会なり!

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ハシビロガモ
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ソリハシセイタカシギ

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サシバ

粟国島での野鳥観察のコツを伝授していただきたく、四方さんの休日の、朝の野鳥探訪にご一緒させてもらうことに。車で先導していただき、島の方々が畑仕事に汗している耕作地を行くと、まもなく柵に囲まれた溜め池に到着。そっと、車を停車。四方さんの目線を追うと、水面にカモたち。双眼鏡で覗くと、おお! なんともユニークなクチバシ! ハシビロガモだった。粟国島には川がないため、農業には溜め池が不可欠。この溜池が、水鳥たちの休息地となっているのだ。

そして次に向かった溜め池では、これまでに100種類ほどの鳥を撮影してきた四方さんですらときめく出会いが! 水へ入るスロープには、なんともエレガントな白い鳥が一羽。細長いクチバシは、不思議なことに上向きに反っている。「ソリハシセイタカシギです。滅多に会えない鳥で、粟国島では初確認かもしれません」と。ちなみに池には柵がめぐらされている。四方さんいわくこの柵の存在が、彼らを安心させているのかもしれない、とも。たしかに鳥たちはどの溜め池でも悠々としていた。

畑を抜け、今度は海岸沿いの道路へ。少しすると車はふたたび停車すると、窓から四方さんの手がでてきて空を指差す。観ると電柱の先端に、おお!サシバ!! 肉眼でも分かるタカの仲間ならではの屈強な足に、鋭いクチバシ! 双眼鏡でじっくりと観察していたら、ぶわっと羽ばたいた。左右に広げた羽の雄大さ、尾羽の模様の美しさ! ああ、カッコイイ!!

オーシャンビューの、「喫茶まはな」でひと休み

agu06 こうして鳥たちに夢中になっていると、あっという間に時は経ち、ランチタイムを忘れがち。でも「喫茶まはな」なら営業時間が長いので、バードウォッチャーの心強い味方になること間違いなし。窓辺のカウンター席に座れば、パークゴルフ場の向こうに東シナ海と渡名喜島を望める。「天気がいい日には、渡名喜島の白い砂浜までくっきり見えますよ」と、店員の方の談。なおこちらの名物ランチは、粟国島カレー。特産品のモチキビが炊きこまれたご飯が、粟国島型に盛られ、見た目にも楽しい。そしてデザートには、氷ぜんざいを!使い込まれたかき氷機で削ったふわふわの氷の下には、金時豆と島産黒糖を使ったぜんざいがたっぷり。さっぱりとした甘さで、喉の渇きを潤してくれる。マハナ展望台のすぐ近くなので、野鳥観察を楽しみながら立ち寄れるのも、魅力だ。

季節が変われば、出会える鳥も変わる?!

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「あぐに野鳥友の会」撮影:四方正良氏
キビタキ(3月頃~5月頃、10月頃~11月頃)

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「あぐに野鳥友の会」撮影:四方正良氏
オオルリ(4月頃~5月頃、9月頃~10月頃)

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「あぐに野鳥友の会」撮影:四方正良氏
ブッポウソウ (4月終頃~6月頃)

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「沖縄野鳥の会」写真提供:山城正邦氏
アカショウビン(4月中旬~8月頃)

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「あぐに野鳥友の会」撮影:四方正良氏
サンコウチョウ(4月中旬~8月頃)

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「あぐに野鳥友の会」撮影:四方正良氏
アカガシラサギ(9月頃~5月頃)

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「あぐに野鳥友の会」撮影:四方正良氏
ナベヅル(10月頃~12月頃)

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「あぐに野鳥友の会」撮影:四方正良氏
カワセミ(一年中)

粟国島の野鳥たちは、これまでに観察された約220種類のうち、じつに7~8割が渡り鳥。しかも一羽が粟国島にいる時間は短く、2~3日で旅立つことも多いという。鳥との出会いは一期一会、ということなのだろう。春の粟国を訪れれば、渡りの途中で羽を休める野鳥に出会える確率がぐぐっとあがるという。粟国では頭の冠羽がチャーミングなヤツガシラを間近で観察できることもあるという。そしてこれもきっと、島の方たちと野鳥の、穏やかな関係のたまものなのだろう。

ちなみに四方さんがこれまでに粟国で出会い、最も印象的だった鳥は、日本三大鳴鳥のオオルリとのこと。四方さんにオオルリ含め、春夏の渡り鳥などの写真を見せていただいた。いつか自分の目で見てみたい!

宿の予約は早めがおススメ!

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agu08_3 相手は野鳥のため、ズバリここがオススメシーズン!と、断言はできないけれど、もちろん目安はある。たとえば粟国島では、例年5月の大型連休辺りが夏の渡り鳥たちの観察シーズン。そしてこの時期には、ダイバーたちも粟国島に集まって来るのだそう。だから島の宿は、野鳥愛好家とダイバーで早々に満室に。この頃の粟国島旅行は、早めに計画を立てた方が良さそう。今回お世話になった宿は、港から徒歩エリアにある民宿「寿」(部屋数5室)。「寿」ではランチタイム(11時半~12時)に、完全予約制で一日20食限定の沖縄そばが味わえる。具にはふわふわの島豆腐や豚肉がのり、こだわりのスープは飲み干したくなる美味しさ。知る人ぞ知るランチスポットでもあるので、要チェック。

旅の終わりに、海抜85メートルのマハナ展望台へ

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agu07_4 フクギ並木に守られた沖縄らしさ満点の集落から坂道を上り、旅の終わりにもう一度、マハナ展望所へ。すると断崖の向こうからサシバが一羽舞い上がってきて、ぐるぅーと円を描きつつ上昇していく。と、もう一羽、旋回しながら同じように浮上してきた。そしてさらにもう一羽! サシバは夏、日本各地で繁殖活動を行なったのち、東南アジアへと南下する。その移動距離は4,000km以上といわれていて、この長距離移動を成功させるため、彼らは上昇気流を上手に使って、上空からの滑空を繰り返し、体力の消耗を抑えながら海を渡るのだという。来るべきその日に備え、若いサシバたちは練習をすることもあるそう。さきほどのサシバたちはもう、空高く昇って小さな点になっていた。粟国島で出会う渡り鳥たちが見る景色は、県境も国境も軽々と越える壮大なパノラマビューだった。愛らしい鳥たちに出会い、自分自身も鳥たちの目線で景色を楽しむ。粟国島はバードウォッチャーにとってたまらなく愛おしい島だ!

Information 基本情報

粟国村観光協会

住所 沖縄県島尻郡粟国村字東1142
TEL 098-896-5151
備考
URL http://aguni-kankou.jp/agunijima/

喫茶まはな

住所 沖縄県島尻郡粟国村西1548
TEL 098-896-5151(粟国村観光協会)・ 098-988-2477(隣接の粟国島パークゴルフ場)
備考 営業時間:
月~金9:00~15:00
土・日・祝9:00~17:00(土・日・祝は夏期の終了時間変更あり)
定休日:不定休
URL

民宿 寿

住所 沖縄県粟国村字浜407
TEL 098-988-2407
備考
URL

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