花と歴史のロマン香る島

花の島を支える人々

「久米島(くめじま)は花の島でもあるんですよ」と教えてくれたのは、島にあるカフェ花龍のオーナー、松山悦子(まつやまえつこ)さんだ。
久米島を車で巡っていると、道路脇の植え込みや民家の軒先に色とりどりの花が植えられていることに気づく。
 
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松山さんは、この花を島のみんなに植えてもらうプロジェクト「花いっぱい運動」を推進してきたメンバーのひとりだ。
ビニールハウスで種から花苗を育て、それを有志に配って自宅周辺に植えてもらう日々。
活動開始から約6年で、7万株以上が植えられたという。
 
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それでも島中に行き渡るにはまだまだだが、「いつか島中が花でいっぱいになるといいな」と目を輝かせながら夢を語る松山さん。

もちろん、久米島の花の美しさは人が植えたものだけではない。
自生する花もまた魅力のひとつ。
「特に私のいちばんのお気に入りがここなんです」と松山さんが連れて行ってくれたのが、沖縄県内の城(ぐすく)で一番高い場所に位置する宇江城城跡(うえぐすくじょうあと)に至る林道。
ここではちょうど道ばたに黄色い花々が咲き乱れていた。
「これはリュウキュウツワブキで、秋から年末にかけて咲くんですよ」と松山さん。
海岸に近い場所では野生のグラジオラスやテッポウユリも美しいという。
久米島を訪れるときは、道ばたの花にも注目してほしい。
 
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松山さんお気に入りのリュウキュウツワブキの群落
 

悲運の王子を偲ぶ

歴史ブームと言われて久しいが、松山さんによると、久米島にも人気の高い歴史上の人物がいるという。
それは悲運の王子といわれる笠末若茶良(がさしわかちゃら)だ。

彼は、450年ほど前にこの島を治めていた伊敷索(ちなは)という按司(あじ=その地域の権力者)の三人息子の末っ子だったが、父から与えられた登那覇城(とんなはぐすく)の城主となってからも、人柄の良さや徳の高さにより地域の人にとても親しまれていたという。

しかし、その人気に嫉妬した父・伊敷索に兵を挙げて攻められ、最後には自害してしまった悲劇の王子なのだ。
その話は島内に民話として残り、最近では現代版組踊(くみおどり=沖縄の伝統芸能)の演目として、島の中高生達により演じられている。島内での初演後、那覇などでも上演され、その伝説は今も脈々と受け継がれている。

そんな物語の舞台となった登那覇城(とんなはじょう)の跡も、現在では登那覇園地として整備されている。
芝生で美しく整備された園内と、その眺望の良さは、城主・笠末若茶良の人気の高さを表しているようだ。
 
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美しい夕陽に染まる登那覇園地
 

車エビと泡盛の夜

久米島を訪れるまで知らなかったが、実は久米島は日本一の車エビの産地なのだ。
海岸沿いには大きな養殖池がいくつも並び、沢山の車エビが育てられている。
久米島ならではの温暖な気候と、近海から汲み上げる海洋深層水を使ったウイルスフリーの養殖法が味の良さの秘密なのだとか。

そうと聞けば食べない訳にはいかない。
夜になると、早速居酒屋で車エビを注文してみた。
メニューは塩焼きと、小エビの素揚げだ。
もちろん、その傍らには久米島の泡盛。

テーブルに届くなり、ガブッとかじりついてみた。
ほんのり甘くて、身がプリプリとしている。
実に美味い!久米島の泡盛とも相性抜群だ。
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