ガイドとめぐる 神の島 久高島

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久高島は、琉球創世神・アマミキヨが降りたったといわれ、島全体が神聖な地とされていることから「神の島」と呼ばれている。
久高島へ行く船は、南城市の安座真港から1日6便運航しているので、とても利便性がいい。
フェリーは約25分、高速船だと15分ほどで島に到着する。
島の周囲はおよそ8キロ、サイクリングにもぴったりな島だ。

 

久高船待合所でガイドの方と待ち合わせ

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久高島の歴史はとても興味深く、一人で散策するのもいいけれど、島のガイドとまわる方が魅力や成り立ちが理解できるのでおすすめ!
島へ到着すると、予約をしていた久高島出身で島の歴史に詳しいというガイドの西銘(にしめ)さんが「久高島は、沖縄の歴史の中でもとても重要な島になります。今日は一緒に色々な場所を巡りましょうね」と笑顔で迎えてくれた。

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最初に訪れたのは、島の東側にあるイシキ浜。
「イシキとは、男性やお兄さんなどを指す言葉で、イシキ浜という名称には「男達を守る浜」という意味があります。神々がいるとされるニライカナイを拝む場所で、昔は琉球国王が最高神女・聞得大君(きこえおおきみ)を伴って、旧暦の2月に参拝したといわれています。現在でも島の女性たちが健康祈願と五穀豊穣を願って、お祈りが行われますよ」と西銘さん。
女性が男性を守り、男性が女性を支えるなんて、沖縄の女性って強くてたくましいと感じた。

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北上して向かったのは、別名ハビャーンとも呼ばれるカベール岬。
「ここは、琉球開闢(国開き)をした女神アマミキヨが最初に降り立ったといわれている場所。200メートル先には1800年前の貝塚が見つかっており、現在は、大漁祈願を行う場所なんですよ」
高台からサンゴ礁が見えるほど透き通った海を眺めていると、なんだか清らかな風を感じた。

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島で特に大切な場所だと案内されたのはフボー御嶽への入口。
「この御嶽は、アマミキヨが作ったと言われる琉球の7大御嶽のうちの1つで、国の名勝にも指定されています。中は広場のようになっていて、とても神聖な場所なので島の一部の人しか入れませんが、ぜひ一緒に挨拶をしましょう」
手を合わせようとすると「気持ちを込めて合わせた手をこすりながら挨拶してくださいね」と西銘さん。地元流の挨拶の方法を教えてくれた。
『少しの間、島におじゃましますね』と思いを込めて静かに拝礼。木漏れ日が差し込む中、神聖な場所でのお祈りはなんだか清々しい気持ちになった。

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続いて訪れたのは、御殿庭(うどぅんみゃー)と呼ばれる場所。
ここは神の家で、イザイホーと呼ばれる島の女性が神女になるための儀式が12年に1度行われる。貴重な儀式が昔からこの場所で行われているということを想像するだけで、胸が高鳴った。ガイドの方の解説があるからこそ、その場所の成り立ちや歴史を理解できてとても興味深い。
お話を聞いていると、どこから香ばしいにおいが鼻をくすぐった。「イラブーというウミヘビを燻製にしているんですよ。神の使いといわれるイラブーは、大切な贈り物とされています。調理をするのも儀式の一つなので、昔から製法を受け継ぎ、この場所で作ります」と西銘さんが教えてくれた。
イラブー漁は今でも昔ながらのやり方だそうで、島の女性たちが手づかみで獲っているという。『神の島』ならではの料理に、興味津々だ。

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西銘さんと最後に訪れたのは、久高島宿泊交流館。
ここでは、御殿庭での儀式であるイザイホーの様子が撮影された写真や書物など、島の貴重な歴史資料が管理されている。
写真からは厳かな儀式の雰囲気が伝わり、重要な行事だとあらためて感じた。

 

久高島グルメを味わう

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そろそろランチタイム。食事処とくじんでは、イラブーを使った料理が提供されている。
「時間をかけてじっくり燻製されたイラブー汁は、久高島自慢の郷土料理ですよ」とスタッフの方が教えてくれた。ドキドキしながら食べてみると、ほろりと口の中でほぐれる身はやわらかく、とても風味豊か。初めて食べた『神から贈りもの』は、旨味たっぷりの滋味深い味わいだった。
お店の隠れ人気メニューというニガナ和えも、独特の苦味がクセになりそうで絶品!

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ご飯を食べたらなんだか甘い物も食べたくなってきた…。そこで、久高船待合所で冷たいぜんざいを注文。
きなこがのったふわふわの氷を食べ進めると、甘〜いあんこと餅がたっぷり入っていて、大満足。
やちむんの器もかわいくて顔がほころぶ。

 

自然の中をゆったりサイクリング

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久高船待合所で自転車を借りてのんびりサイクリング。目指した先はロマンスロード。
島の人たちにとっての定番のデートスポットだったんだよと西銘さんから聞いた遊歩道は、南国の植物に囲まれてなんだかわくわくする。
ぐんぐん自転車を漕ぎ進めると、道がひらけて目の前にきれいな海が。気持ちいい〜!

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景色を堪能して集落へ戻ると島のおじいさんたちが集まっておしゃべりをしていた。
「どこまわってきたの?楽しめた?またおいでよ〜」とやさしく声をかけてもらった。
島のあたたかさに触れられて、心がほっこり。

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あっという間に帰りの時間となり、後ろ髪を引かれる思いで島を離れた。
神の島の神聖な雰囲気のおかげで、気持ちが前向きになれた。
手付かずの美しい自然も、やさしい島の人も、すべてが愛おしく感じて、近いうちにまた訪れようと思った。

 
 
 

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