心もカラダもぬちぐすいな旅 久米島

「ぬちぐすい」とは、沖縄の方言で「命の薬」という意味。沖縄の人たちは、ちょっと疲れたなぁと感じたら、豊かな自然に触れたり、おいしい料理を食べるなど、「ぬちぐすい」なことを取り入れて、体と心を元気にする。久米島には、そんなぬちぐすいなことがいっぱいあると聞き、さっそく島を訪れてみた。

 

まずは情報収集。現地ならではの旬情報をゲット

久米島情報はイーフビーチのすぐ近く「イーフ情報プラザ」で手に入る。観光協会で話を聞こうとしたら、女性におすすめの情報をたくさん持っているという家出旅コンシェルジュ・小田部早苗さんを紹介してくれた。小田部さんは「泣きたくなったら、久米島へ。」というコンセプトの家出旅を企画した方で、FMくめじまのパーソナリティでもあり、さまざまなメディアを通して日々久米島の魅力を発信している。

小田部さんおすすめの癒しは、畳石を裸足で歩くこと。「畳石は、溶岩が冷えるときにひび割れた模様が独特。素足で歩いていると、なんだか大地からエネルギーをもらえる気がするんです」とのこと。小田部さんが見せた明るい笑顔に、楽しい旅が始まる予感がした。

 

のんびり島をひと巡り。心を潤す絶景を探して

情報をもらった後は、島の絶景を探しにお出かけ。初めに訪れたヤジヤーガマは、全長800mもある久米島最大級の鍾乳洞。ガマというのは、沖縄方言で洞窟のこと。入り口から亜熱帯の森とゴツゴツした岩が広がっていて、神秘的な美しさ。洞内は真っ暗で鍾乳石もあるため、ガイドツアーの利用がおすすめ。ヘルメットやライトも貸し出してくれる。沖縄戦の時には、避難壕として使われていたらしい。久米島にとって神聖な場所で、大事にされているのがわかる。しんとした空気の中、そっと手を合わせた。

 

比屋定(ひやじょう)バンタは、島では初日の出スポットとして人気があるそうで、展望台から臨む、開放感溢れる絶景は圧巻! 目の前に広がるコバルトブルーのまばゆい海と青い空、遠くにはハテの浜の白い砂浜も見える。海の深い青さと島の緑のコントラストが本当に美しい。風に吹かれていると心がゆったりほぐれていくのを感じる。このすてきな自然がいつまでも残るように、みんなで大事にしていかなきゃと感じた。

 

おいしいものは元気の源。地元の味にぬちぐすい

小腹が空いてきたので、ちょっとブレイク。フクギ並木が並ぶ集落をお散歩しながら、地元の商店「ぼんらいず」へ。小さなお店の中にはその日獲れた魚のフライやジューシー(沖縄風炊き込みご飯)など、おいしそうなお惣菜が並んでいる。ここは地域の小さな台所、散歩がてら地元のおじい、おばあがお昼ごはんを買いにやってくる。

 

「看板商品は久米島近海の新鮮なまぐろを久米島味噌やしょうゆで漬けた『久米島まぐろ漬け』だけど、すぐに食べるなら揚げたてのまぐろフライを使ったサンドイッチはどう?」とスタッフの比知屋初美さんが気さくに教えてくれた。

木陰で風に吹かれながらパクリ!まぐろフライはサクサクで、たっぷりのシャキシャキ野菜がクセになる。地元のものを地元でいただくのって、本当に新鮮でおいしい。

 

ゲストハウスでゆったり。まるで島んちゅ気分

久米島を満喫しつつ、今日の宿「Tom&Rimi’s Guest House」へ。アメリカ人のトムさんと久米島出身のリミさん夫妻が出迎えてくれた。リミさんがお茶を出す準備をしていたので、荷物を置いたら一緒になってお手伝い。

 

リミさんは手際よく冬瓜を切り分けながら、「リンゴジュースで煮るとおいしいスイーツになるのよ」と意外な食べ方を教えてくれた。お手製のバタフライピーティーと冬瓜のコンポートをいただく。コンポートは食感といい、本当にリンゴみたい!「これで作ったパイはトムも好きなの」とうれしそう。

 

二人のゲストハウスは、英語を使った国内留学・短期ホームステイも受け入れているという。また、英会話教室を開いて島の子どもたちに英語を教えているトムさんは「宿泊者の希望にもよるけど、観光案内や英会話、ショッピングだけじゃなくて、牛の世話や、シュノーケリングやサップ、カヤック体験も一緒にやります。家にいる間はみんな本を読んだり、映画を見たり、三味線を弾いたり、自由に過ごしているよ」と話す。見せてもらったアルバムには子どもから大人まで、たくさんの人が笑顔で久米島を楽しむ様子があふれていた。

 

リミさんは、島の素材を使っていろいろなものを作るアイデアマンで、クバの葉でかごを編んだり、久米島特産である紅芋やカボチャなどを使い、沖縄で毎年作る伝統的な餅を作ったり、レモングラスの干し草でコースターを作るなど、島にあるものを最大限に利用して、そして楽しんで暮らしている。

リミさんをはじめ、島の人たちは久米島のことが大好きだ。海や山を愛し、守り、昔ながらの文化を大事に思っている。食べる物も島の恵みに心から感謝して、大切にいただいている。今回の旅を通して『地産地消』の本当の意味を知ったような気がする。

島んちゅの暮らしに触れながら、久米島の自然や文化の素晴らしさ、島の人たちの思いなど、たくさんの「ぬちぐすい」を感じることができた。

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