石垣島の「本原畳店」は、1946年(昭和21年)に創業して以来、八重山諸島全域の畳工事を請け負ってきました。住居で取り扱う畳はもちろん、畳縁を使った可愛らしい雑貨も制作・販売しておりお土産として観光客に大人気。そんなお店の三代目となる本原正将(もとはら まさのぶ)さんと史香(ふみか)さん夫妻は、日々畳づくりに取り組む中、カヤツリグサを使用した「琉球畳」の復活を目指し活動しています。
ホンモノの「琉球畳」とは
琉球畳について本原夫妻に聞いてみると、開口一番「皆さんが思っている琉球畳は実はそうでないものが多いです」と話します。
では、ホンモノの琉球畳とは。
「カヤツリグサを使用した畳のことを琉球畳と呼びます。メディアでよく取り上げられる市松模様の畳のことを琉球畳と勘違いしている人も多いのですが、実はそうではないのです」
琉球畳の材料となるカヤツリグサを生産している農家は近年少なくなってきており、現在は大分県で3軒ほどに減ったといいます。琉球畳なのに大分県と不思議に思うかもしれませんが、琉球から渡来した「草むしろ」の質に驚いた豊後の国(現大分県)の商人が、薩摩南のトカラ列島から自国へ苗を持ち帰り栽培を始めたことで、大分県でカヤツリグサの生産が盛んになったのです。トカラ列島の七島から、カヤツリグサはシチトウイ(七島イ)とも呼ばれます。
通常のい草の断面が丸みを帯びているのに対し、カヤツリグサの断面は三角形となっています。そのため通常のい草よりも太く、畳表にする際は2つに割いてから使われます。通常の畳よりも、琉球畳は耐久性が高く表面が摩擦に強いという特徴がある一方で、畳にする工程で3倍もの時間がかかるなどのネガティブな面も。近年では建設費のコスト削減などで和室が減っていくなど、畳業界は衰退の一途を辿っています。
地域で取り組む「琉球畳」の復活
時代の変化により衰退していく琉球畳ですが、本原畳店では石垣島でカヤツリグサを栽培し復活に向けて活動を続けています。さらに2021年からは元看護師である本原史香さんの発案により、カヤツリグサと本原畳店の畳縁を使用した「正月飾り」を地域の就労継続支援施設の利用者らと毎年制作しています。農業と福祉を連携させた「農福連携」によって、地域の人々の手を借りながら琉球畳の復活に向けての第一歩を踏み出しました。
畳の地味なイメージを払拭。今後の展開は?
本原史香さんが「畳の古くて地味なイメージを取っ払いたい」と思い始めたのがオリジナル畳雑貨・畳嫁。先代の代から畳工事の過程で出てくる端材を使用した物づくりが好評だったということもあり、本原史香さんが広告塔として本格的にブランド化した商品です。
ミンサー織のパステルカラーが特徴的な可愛い畳縁と沖縄県産ビーグを使用して「ビーグで雪駄」「畳嫁ポーチ」「畳嫁ゴザ」「ミニ畳」などのオリジナル商品を制作し販売しています。海外からのお客さんや女性の方が気に入って購入していくそうです。
今後については「畳嫁のブランドの一新や新商品の開発のほか、コロナの影響で開催頻度が減っていたワークショップにも力を入れていきたいです。ワークショップは他の施設を借りて行うことが多かったのですが、今後は工場のスペースをリノベーションしてお店で体験ができるようにしていきたいです」と更なる展望についてお話してくれました。沖縄県産のカヤツリグサを使った琉球畳のワークショップができるのはココだけ。お申し込み、お問い合わせは本原畳店まで。「ホンモノの琉球畳」で作ったオリジナル雑貨を買いに足を運んでみませんか?
Information 基本情報
石垣島 本原畳店
住所 | 沖縄県石垣市登野城90-1 |
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TEL | 0980-82-3569 |
備考 | 営業日時:【平日】08:00~17:00 【土曜】08:00~12:00 │定休日:日曜 ※祝祭日(不定休) |
URL | https://www.motoharatatami.com/ |