久米島×ホームステイのすすめ。島の人たちと繋がるスローな旅へ

スロートラベルとは、旅先に住んでいる地域の人々や文化との「つながり」を重視した新しい旅のスタイルです。地域社会や教育、環境に焦点を当てて、自分のペースでのんびりと目的地を巡り、地域の文化を学んだり体験したりすることに時間をかけていきます。今回は久米島の素敵なご夫婦のもとへ娘を連れて家族全員でホームステイを堪能。そこには、一生忘れられない「出会い」がありました。

 

地域に根付く「英語塾」と「英語ホームステイ」

シサレリ・トムさんと理美子さんが営む「Tom and Rimi’s English Homestay」では英語での国内留学・短期ホームステイ体験を提供しています。理美子さんの故郷である久米島で18年以上も英会話の塾を経営し、地域の英語力の向上に尽力する傍ら、その経験を活かし8年ほど前から国内の学生を対象にした英語ホームステイの受け入れもスタートさせました。これまで指導してきた生徒数は数千人にものぼるといいます。

「ホームステイを始めたきっかけは、久米島で英語教室をしていたこともそうですが、英語が好きな子どもたちはやっぱり海外留学を希望する子が多い。でも費用の面や治安や食事への不安、そしてきちんと語学を学べる環境なのかどうかが大事」

遠い海外に我が子をホームステイさせるハードル以外にも、子どもたちが自分の英語レベルが低いと思い込んで、海外へいくことに不安や悩みを抱えていることが海外留学への妨げになっているようです。

「そんな悩みを抱えるくらいなら安心できる日本、ここ久米島でネイティブアメリカンのもとでホームステイする方が子どもたちのためにもなるんじゃないかって。ここで過ごした子どもたちは自然と自信が付くんです。背中を少し押すだけで、子どもは驚くほど成長していきます」

 

家族でトムさん、リミさんのもとホームステイ体験へ

そんな素敵なご夫婦のもとへ家族でおじゃましてきました。温かいお出迎えから我々が着替えを済ます間に、リミさんは夕食の準備に取り掛かります。本日のメニューは島野菜のサラダにマグロのステーキ、ステーキは味変にシークヮーサーを添えて。そしてデザートに島バナナのケーキまで。リミさん特製の体においしい、島食材のアレンジ料理がずらりと並びます。

リミさんの料理を味わいながらの団らんタイム。トムさんとリミさんには4人の子どもがいて、現在はアメリカの大学と高校に通っています。子どものアメリカ生活の話、例えば久米島で過ごしていたので東京から来た日本人の留学生から「なんか日本語なまっていない?」と突っ込まれたり、海外のアルバイト事情を話したり。教育の話題のほか、脱線して時事ネタ(このときはバスケのW杯や甲子園などのスポーツの話に…)まで。おしゃべりが大好きなご夫婦との会話がはずみます。

夕食のあとは、2階のスペースでトランプやボードゲームを楽しみます。もちろん、ルール説明や会話はすべて英語。最初は理解に苦しみながらも、徐々にルールやコツを覚えていき、お互いに駆け引きが始まるとみんな自然と笑顔に。家族みんなでこうしてゲームするのっていつぶりだろう。娘も手をたたきながら大笑いし、とても楽しそう。笑い声に包まれながら、夜はゆっくりと更けていきます。

 

ゆったりと美しく流れる優しい時間。これが島での朝活

トムさん宅の周辺をお散歩。木々や花々などの豊かな自然が広がっています。木漏れ日を体いっぱいに浴びながら、少し湿った草木をかき分けて、土の感触を足全体で踏みしめる。気持ちの良い朝を迎えられました。

朝の散歩から戻ってくると、食卓には朝食が並べられ、ホワイトボードには本日のプログラムが。今日も一日楽しい時間が過ごせそうです。

朝食を早々に済ませ、トムさんと向かった先は近くの牧場。ここでは、飼育牛のお世話を行います。子牛にブラッシングをすると、とても気持ちよさそうにこっちを向いてきます。可愛い牛たちに癒された時間でした。

牧場から帰宅すると、娘はトムさんと英語での読み聞かせや音読の授業へ。代わり代わりに文章を声に出して読んでいきます。わからない単語や発音が違うと、トムさんが優しく教えてくれます。娘とトムさんの声が紡ぐ絵本の物語。優しい時間が流れていきます。

英語の授業が終わると、今度はリミさんによるクラフト体験へ。アダンやクバの葉っぱを使った民具作りを行います。リミさんから作り方を学びつつ、沖縄や久米島に古くから伝わる知恵や技術を受け継ぐ大切さを感じます。

家族3人の中で早々にコツを掴んだ娘はお気に入りのバッグを完成させご満悦でした。

 

久米島の自然を満喫する課外授業へ

「せっかく久米島に来たんだから、英語の勉強以外にも島の自然を楽しめるプログラムを」という想いで、選べるアクティビティ(課外授業)が体験できます。今回は乗馬体験とSUP(サップ)を行うことにしました。

「久米島馬牧場」の協力を受けて乗馬体験がスタート。かつて久米島の人たちと生活を共にしていた在来系の馬たちに乗って、美しい海が広がる浜辺を走ります。馬は小さいけど力持ちでぐんぐん進んでいきます。馬具は桑の木などを削りだして作る「面繋(久米島方言でンゲー、ゥムゲー)」を使って馬を操ります。馬はとてもお利口ですが、乗っている私たちが上手く手綱で誘導しないと、すぐに草むらに行ってしまいます。馬との意思疎通に苦戦しながらも、パカラッ、パカラッとリズム良く進むスピードと、その早さと相まって吹く浜風がとても心地よい。馬に乗っているため、普段より少し高い目線から眺める久米島の海もとても美しい。

SUP(サップ)はサーフボードよりも少し大きいボードの上に立ち、1本のパドルで漕ぎながら海の上を進むマリンスポーツです。最初は膝立ちで漕ぐところからスタートし、慣れてくるとボードの上に立つことができます。スイスイと思いのままに海上を進んでいくのがとても楽しい。時折バランスを崩して海に落ちそうになるハラハラ感も味わえ、その滑稽な姿を家族に見られる度に、海には笑い声が響きます。

サップのボードから降りて、水平線を眺めながらのんびり物思いにふける我が娘。久米島でのスローな旅もこれにて終了。娘にとってはどんな旅だったのでしょうか。

トムさんとリミさんは空港までお見送りに来てくれました。二人と熱い抱擁を交わし、ちょっと寂しいお別れの時。最後まで手を振ってくれた二人の姿が印象的でした。飛行機に乗るまでの間、娘が「また来たいね」とぽつり。私も「また来ようね」と言います。私たち家族には「久米島でまた会いたい人」がいる。だから、最後のお別れの挨拶は「See you again」ではなく「See you later」に。

 

 

 

Information 基本情報

Tom and Rimi's English Homestay

住所 沖縄県島尻郡久米島町字西銘800
TEL 080-6597-3994
備考
URL https://www.kume-homestay.com/
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