カジキマグロと長命草、日本でいちばん西にある島料理の店「海響(いすん)」で打つ舌鼓

日本最南端の島、与那国島(よなぐにじま)を訪ねる

まもなく日本最西端の島、与那国島(よなぐにじま)に到着という頃、出力を抑え始めた39人乗りのプロペラ飛行機の窓から真下を眺めると、澄みきったブルーの海が広がっていました。宮古島や慶良間諸島の緑がかった青とは確かに違う、与那国ブルー。他の離島にはない独特の深みが与那国への期待感を膨らませてくれます。

飛行機を降りて向かったのは、日本最西端の島の、そのまた西の端にある島料理の店、海響(いすん)。

日本在来の馬、ヨナグニウマ

空港から車で10分。切り立つようにそびえる小高い丘。のんびり草を食む与那国馬。車窓の外を今まで見たことのない沖縄が次々に現れては消えていくのをただ眺めていました。

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(画像提供:沖縄観光コンベンションビューロー)

程なくして到着したのは久部良(くぶら)という小さな集落。沖縄本島や石垣島とはまた違った独特の異国情緒が漂っていました。黒潮本流が直接ぶつかる与那国島の最果てにあるこの集落は、古くからカジキマグロやカンパチのほか、多種多様な海の幸が水揚げされてきた漁村です。中心部から車で1~2分の西崎(いりざき)は「日本国 最西端之地 与那国島」と書かれた石碑の立つ絶景ポイント。条件が良い日にはわずか111km先にある台湾が望めるとあって多くの観光客が訪れています。

西の端の料理店「海響(いすん)」を訪ねる

日本最西端の料理店、海響(いすん)を訪ねる

公民館のほど近く、集落の中心部だろうと思われる場所にひっそりと佇んでいる島料理の店、海響。引き戸を開けて中に入ると、女将さんの具志堅学子(ぐしけん・たかこ)さんが素朴な笑顔で迎えてくれました。具志堅さんは、映画『老人と海』の主人公、糸数繁(いとかず・しげる)さんのお孫さん。糸数さんはサバニ(沖縄独特の小型の舟)に乗ってたった一人でカジキマグロと格闘してきたという伝説的なウミンチュ(漁師)で、この辺りでは有名人なのです。

「家庭料理しか知らないんですけどねー」

褒めると照れたように笑う具志堅さん。漁師の村に生まれ、小さい頃から魚をさばくのを手伝ってきただけあって、包丁さばきは実に鮮やか。

与那国島の海の幸

壁に飾られた映画のポスターをぼんやり眺めながら待つこと数分。楽しみにしていた海鮮料理ををさっそく味わってみました。

カジキマグロとシチューマチの新鮮なお刺し身

最初に登場したのは、カジキマグロとシチューマチ(アオダイ)の新鮮な刺身。カジキマグロはやわらかでとろけそう、シチューマチはプリプリした歯ごたえと広がる旨味がなんともいえません。十分すぎるほど伝わってくる与那国の海の魅力に圧倒されていると、二つ目のお皿に続いて三つ目、四つ目と新たな料理が運ばれてきます。

ビタローのマース煮(塩煮)

カジキマグロの目玉の煮込み

カジキの中身ポン酢

テーブルの上に並べられたのは沖縄で一番おいしい魚の食べ方とされる、マース煮(塩煮)にしたビタロー(スジフエダイ)とカジキマグロの目玉の煮付け。そして、味わうことが難しい「カジキの中身ポン酢」。黒潮の源流に最も近い与那国島の海水をじっくり煮詰めたレアな塩、「与那国海塩」の柔らかい味わいと、与那国ならではの新鮮な魚のマリアージュにほっぺたが落ちそうになります。

目玉の煮付けときたら、島の海のように深い味わいがお酒にもぴったり。珍味であるカジキの中身(内蔵)に至っては、ヤミつきになること請け合いの舌触り!

栄養豊富な長命草(ちょうめいそう)

与那国島の特産品長命草を使ったお料理

自慢の料理は海の幸にとどまりません。与那国島の特産品、長命草を使った郷土料理。最近では日本の美を長らく支えてきた某化粧品メーカーが健康ドリンクとして発売し、全国的に知名度を急上昇させた長命草は与那国では昔からごく普通に食されてきたそうです。

ヒラヤーチーにかき揚げ、白和え。さらにはこれまた珍しい長命草の花のてんぷら・・・。こちらも味付けは与那国海塩。適度な苦味が心地よく、口に運ぶたびに健康が一つ、また一つと、体のなかに取り込まれていくようです。

海の幸のイメージが先行する与那国ですが、秋から春にかけてはいろいろな野草や山菜が手に入るのだとか。ホウビカンジュというなにやらご利益がありそうな名前がついたシダの新芽はサラダやお浸しに、オオタニワタリはてんぷらや炒め物に。家庭によって食べ方は様々なのだそう。

「最近は那覇からUターンしてきた息子夫婦も加わって、心強い」と話す具志堅さん。失われてしまった与那国の昔の味を近所の大先輩に教えてもらったり、自分たちで丁寧に育てた島野菜の新たな調理法を家族みんなで考えたり。この島ならではのふるさとの味を与那国を訪れる人にすべてに堪能してほしいと、日夜の「楽しい研究」に余念がないようです。

日本で最後に沈む夕日を眺めた後に食べる最西端のおふくろの味はまた格別。日差しがやわらぐ秋から春にぜひ訪れてほしいおすすめのお店です。

黒潮がぶつかる与那国島の海

与那国島の楽しみはカジキマグロや長命草といった食だけではありません。訪ねてみたい見所がたくさんあるんです。放し飼いにされた与那国馬が自由気ままに草を食む東崎、『Dr.コトー診療所』のロケ地がそのまま残る比川浜付近、見晴らしのよいパワースポット「ティンダハナタ」・・・。数えはじめたらきりがありません。

また、黒潮のおかげで抜群の透明度を誇るこの島はダイビングの島としても注目されています。遺跡ポイントやハンマーヘッドシャークの群れを楽しむポイントなどダイバーにとっては憧れのポイントがいっぱいの島。 子どものいるご家族には与那国馬の乗馬体験や古民家での民具づくり体験もおすすめです。日本最西端の島、与那国島で忘れられない思い出をつくってみてはいかがでしょうか。

 

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海響(いすん)

住所 沖縄県八重山郡与那国町字与那国4022-6
TEL 0980-87–2158
備考 営業時間 18:00~23:00(水曜定休日)
URL http://www.shokokai.or.jp/47/4738210100/

参考情報

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