「次の休みは、とにかく癒されたい!」そんな気持ちになったら、美しいフクギ並木と白砂の道、赤瓦の古民家がどこか懐かしさを感じさせる渡名喜島へ。昔ながらの沖縄の風景が広がるこの島でのんびり過ごす時間は、とにかく贅沢。また、渡名喜島は島全体が国の重要伝統的建造物群保存地区に選ばれているという。那覇市泊港からフェリーで約2時間。いざ癒しの旅へ。
癒しの渡名喜島に到着 美しい白砂の道を散策
フェリーのゆるやかな揺れも心地良く、ぐっすりと眠っているうちに渡名喜島に到着!早速、港から徒歩約1分の島唯一というフクギ並木が続く集落を散策してみる。村道1号線と呼ばれるメインロードは車1台がやっと通れる広さで、港から島で唯一の遊泳ビーチ「あがり浜」まで続いている。道はきれいな白砂の道になっており、かたわらには鮮やかな花が揺れ、所々に貝殻やサンゴの欠片が落ちている。この道をゆったり歩いているだけで、コンクリートの上で生活している日常からの開放感を味わうことができる。集落の景色を楽しみながら、今夜の宿へ向かう。太陽の光を浴びて輝く白砂、鮮やかな緑のフクギ並木、シーサーが鎮座する赤瓦の古民家のコントラストがあまりに美しく立ち止まって見入っていると、すれ違う島の人が笑顔で「こんにちは!」と声をかけてくれた。都会では見知らぬ人に挨拶をすることなんて滅多にないけど、この島ではこれが当たり前なんだ。なんだか島に迎えられているようで、自然と笑顔になる。
どこか懐かしい「赤瓦の宿 ふくぎ屋」にチェックイン
今夜泊まるのは古民家を改装した「赤瓦の宿 ふくぎ屋」だ。渡名喜島の古民家の多くは台風対策として家の周りにフクギを植えており、フクギより屋根を低くさせるために、路面から1メートル程度掘り込まれて建てられている。そんな古民家が全部で6棟あり、贅沢にもそれぞれ一棟貸されている。綺麗にリフォームされているが間取りは昔のまま。縁側に座って、庭のフクギの向こうへゆったりと流れる雲を眺めていると、まるで以前からこの島の住人だったような気持ちになり、思わず心が和む。
島の案内役とこの後の散策計画を練る
一息ついてから、ふくぎ屋のオーナーである南風原(はえばる)さんにお話を聞いてこの後の散策計画を練ることに。渡名喜島出身の南風原さんは島内ツアーを主催するなど、観光の窓口としても活躍していて心強い。渡名喜島の魅力は何かと尋ねると、「なんといっても豊かな自然ですね。ビーチに行けば、海に潜らなくても普通にウミガメを見ることもできます。これから冬に近づくにつれて空気が澄んでくるので、満点の星も是非見て欲しいです。無農薬で安心して食べられる地元の野菜も美味しいですよ。のんびりした時間を過ごせるのもこの島の魅力なので、ゆっくりしていってくださいね。」と語る南風原さん。
渡名喜島の名物になっているフットライト、ウミガメに出会えるビーチ、星空が綺麗な場所など、地図を見ながら渡名喜島の見所を丁寧に教えてくれた。面倒見の良いお人柄にほっこり。
ビーチに行けばウミガメに出会える!?
サンゴ礁に囲まれた渡名喜島は、意外と知られていないけれど、海に潜らなくても高い確率でビーチでウミガメに出会うことができるという。「満潮の時は島の東側にあるアンジェーラ浜にウミガメが食事をしに来るんですよ」と言う南風原さんに連れられて、「そんなに簡単に会えるのかなぁ」と半信半疑で向かう。「あっ!その黒い影、ウミガメです。そっちには2匹いる!」エメラルドブルーに輝く海に揺れるいくつもの黒い影、一瞬岩のように見えるが、海草を食べているウミガメだという。その時、水面にひょっこりとウミガメが顔を出した。「15分に1回、息継ぎの為に顔を出すんです。そろそろあっちのカメも上がってきますよ」と、ウミガメの息継ぎのタイミングまで知り尽くしている南風原さんに驚きつつも、次から次へと顔を出すウミガメの可愛いさに時間を忘れて探してしまう。この時だけでも20~30匹はいたのではないだろうか。こんなに多くのウミガメを見たのは生まれて初めてで、忘れられない体験になった。
幻想的な光の道・フットライト
ビーチでの散策を楽しんでいるうちに日が暮れてきた。集落に戻ってきてびっくり。村道の両脇に明かりが灯り、昼間とは表情の違う幻想的な光の道が続いている。これが渡名喜島の夜の名物になっているフットライトだ。あたたかな光に照らされる白砂の道は、小さな花のシルエットさえロマンチックな雰囲気を醸し出している。見上げれば星空が瞬いていた。今夜は新月、星がよく見えそうだ。贅沢な散歩道を歩きながら、南風原さんの主催する星空観測ツアーに向かった。
絶景の星空に感動!
ふくぎ屋の食堂の前で待ち合わせをし、南風原さんの運転する車で星空スポットへ向かう。この時点ですでに、都会では絶対に見られないほどの星空が広がっていた。「集落の光が届かない所はもっとすごいんですよ。楽しみにしててくださいね」と言われ、さらに期待が高まる。これ以上、綺麗な星空ってプラネタリウム位しか思いつかないなぁ。そんなことを思いながら起伏のある道を登っていくと、展望台の駐車場に到着!「うわぁ……。」思わず声が漏れる。無数の星で埋め尽くされた夜空は、これまで見たどの星空よりも美しくきらめいていた。天の川も肉眼でくっきりと見え、感動していると星が流れた。「ここは2分に1回は流れ星が見えるんですよ」と得意げに笑う南風原さん。手を伸ばせば掴めそうなほど近い星空。想像を越える絶景に、ただただ感動した夜だった。
早起きしてリフレッシュ!100年続く伝統の朝起き会
翌朝、渡名喜島ならではの面白い風習があると聞き、早起きをして向かったのは島の小学校のグラウンド。島の子供や大人が集まってまずはみんなでラジオ体操。子供の頃、夏休みに町内会のラジオ体操へ寝ぼけ眼で通ったのを思い出し、懐かしい気持ちになる。朝のすがすがしい空気をめいっぱい吸い、朝日を浴びながら体を動かすのは本当に気持ちがいい!体操が終わると、島の子供たちを中心に竹ぼうきを持って集落の掃除をし始めた。大正時代から約100年も続いている、島の人たちが大切にしてきた伝統「朝起き会」だ。こうして昔から変わらずみんなで掃除をしてきたからこそ、美しい白砂の道が守られている。そして、早起きして体を動かし、元気いっぱいに掃除をする子供たちの姿を見ていると、こちらも頑張ろうと活力が湧いてくる。渡名喜島の昔ながらの集落に心癒され、島の人たちとの触れ合いに心があたためられる。可愛いウミガメの姿や、幻想的なフットライト、絶景の星空……感動しっぱなしの癒し旅だった。「ちょっと疲れたな……」と思ったら、次の休みに渡名喜島に出かけてみてはいかがだろうか。心も体も癒される体験が、きっと待っていることだろう。
Information 基本情報
赤瓦の宿 ふくぎ屋
住所 | 沖縄県島尻郡渡名喜村1909番地 |
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TEL | 098-989-2990 |
備考 | 1泊2食付 7,000円(1人の場合は9,000円)子供割、団体割、長期滞在割あり ウミガメ観察ツアー 1人1,000円 星空観測ツアー 1人2,000円 |
URL | https://www.tonaki-kanko.com/single_spot.php?cms_item_group_id=2537 |