北大東島で心を解き放つ自然旅

沖縄本島から飛行機で約1時間、船では15時間もかかる北大東島。もっとも東に位置する北大東島は、沖縄で一番早く朝日が昇る島で、琉球王朝時代には、「はるか東」という意味で「うふあがり」と呼ばれたという。そんな北大東島の魅力は、なんといっても自然。雄大な自然に触れながら、心を解き放つ旅を満喫しよう。

 

大海原と断崖絶壁のコントラストに感激!

北大東島の特徴は、何といっても島を囲む断崖絶壁。迫力ある景色を見ようと、島の西側にある、西港へ行ってみた。ゴツゴツとした崖の先に広がるのは、青い海。アクアブルーからディープブルーへと変化する海の色は、ため息がこぼれるほど美しい。

 

海を眺めた後は、西港の近くにある上陸公園へ。「上陸」したのは、島の開拓者。険しい絶壁をよじ登って、島に入ったんだそう。公園には開拓百周年を記念した「開拓記念碑」や、東屋には島をかたどったテーブルもある。

 

公園には海岸へと降りる道があった。その遊歩道は、かつてサトウキビや黒糖などの荷物を港まで運ぶための道だったという。現在では、線路や枕木の一部が復元されている。一歩一歩、島の歴史を感じながら坂を下っていく。

 

たどりついたのは「上陸港跡(じょうりくこうあと)」。昔は、ここから島の特産品が船に積み込まれて出航していった。今でも残る線路道に立っていると、波の音や風の音とともに、時を超えて開拓者たちの熱気も伝わってくるよう。

 

沖縄の朝が始まる場所へ

ひと休みしたら、島の東側へ行ってみる。島内の移動は自転車がおすすめ。海沿いを走っていると、ゴツゴツとした岩が見えてきた。「ニワトリ?」「これはゴジラかな?」なんてイメージを膨らませながら眺めてみる。自然が作り出したアーティスティックな作品がいろいろあって、まるで岩場の天然美術館みたい。

 

北大東空港近くの高台にある「沖縄最東端の碑」に到着!沖縄のもっとも東に位置するということは、沖縄で最初に太陽が昇る場所。「日の出を見るために早起きするぞ!」と、気合を入れて朝を待つ。

 

まだ暗い中、最東端の記念碑の前に行く。晴れた日には、水平線が少しずつ輪郭を見せ始め、太陽が顔を出す。思いっきり背伸びをして、胸いっぱいに深呼吸をすると、自然が与えてくれたエネルギーをチャージした気分だ。くもりや雨の日でも、その日の気象条件によって、見られる光景はそれぞれ。でも、きっと美しい光景に出合えるはず。

 

開拓者や島民のエネルギーが伝わる歴史的建造物

北大東島は、大正時代から戦後まで、燐鉱石(リンこうせき)産業が栄えていたという。当時を感じることができるのが貯蔵庫跡地だ。重厚な石積み作りの建物は、島の観光スポットになっている。貯蔵庫跡地とその周辺は、2018年、沖縄で初めて、国の重要文化的景観に選定されたそう。

 

採掘された燐鉱石は、トロッコを使って運ばれたといい、そのトンネル跡も今に残る。島を支える産業として、大量のリンを積んだトロッコの専用運搬路があったとは、かなり大きな事業だったと感じた。

 

リン鉱石はドライヤー機で乾燥させていたそうで、そのための「ドライヤー建屋跡」が残っていた。レンガ造りだったその建物は、レンガの赤茶けた色がさめないまま、廃墟の中でもひときわ目立つ存在だ。

 

島での散策を終えて、日が暮れるのを心待ちにする。北大東島では早く訪れる夜も素敵で、漆黒の夜空に広がるのは、またたく満天の星たち。星空ツアーもあるので、星空観察や天体観測、写真撮影も楽しめる。
朝日や夜空といった北大東島でしか見られない天体ショーに、迫力のある景色に歴史的建造物。普段の生活で味わえない体験をしたことで、心と体が開放されていくのを感じた。

出典記事:たびらい

 

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