琉球王国時代に離島の中でもっとも美しいと称され、「球美(くみ)の島」と呼ばれた久米島。
その景観のすばらしさは今でも変わらず、訪れた人を魅了し続けている。
透き通った碧い海や雄大な城跡といった自然が織りなす絶景は、きっと心をときめかせてくれるはず。
そんな景色に出会いたくて、カメラを持って、この島へ降り立った。
1日を通して巡る久米島のフォトジェニックな旅をご案内。
旅のはじまりは優しい空の色に包まれて
まだ誰もいない早朝のイーフビーチ。
この日、朝陽は見えなかったけれど、ふんわりとやわらかな空の色合いが綺麗だった。
2キロにもおよぶ天然のロングビーチはお散歩にぴったりで、裸足になってテクテク歩くのが楽しい。
イーフビーチは沖縄県内で3ヵ所しか選ばれていない「日本の渚百選」に指定されているという。
真っ白な砂浜に、心地いい波の音、透んだ風が最高に気持ちいい。
両手を高く伸ばして思いっきり深呼吸。ああ、素敵な1日が始まる予感。
宇江城城跡から見下ろすパノラマビュー
絶景を求めて車を走らせていると、あることに気がついた。この島は高低差のある地形をしているようだ。
平坦なイメージのある沖縄の離島とは、またちょっと違った魅力がある。
遠くに見えるのは「宇江城岳(うえぐすくだけ)」。山頂には、県内にある城の中で、もっとも高い位置に築かれた「宇江城城跡(うえぐすくじょうあと)」が見える。
城跡から見下ろすとそこに広がるのは壮大な絶景が!
標高310mと久米島で一番高い場所にあるので、島を一望することができる。
迫力のある景色に圧倒されながらも、ここぞとばかりにカメラを構えて撮影タイム。
ファインダー越しに見える島はとても美しく、アングルを変えると違った表情が見えて、シャッターを切る手が止まらない!
久米島のマチュピチュともいわれる大迫力の絶景をしばし堪能。
すっきりと晴れた日には粟国島や渡名喜島、さらには沖縄本島も見えるのだとか。
築城は15世紀ごろとされる宇江城城。発掘調査で数多くの中国製陶磁器が出土したことから、かつて久米島では中国との交易が盛んだったことがわかったのだそう。
島の歴史に触れ、先人たちの暮らしに思いを馳せながら、ひと時を過ごした。
きらめくハテの浜で時間を忘れてうっとり
久米島から小さな船に揺られておよそ20分。
到着したのは全長7キロにもおよぶサンゴ砂だけでできた無人島「ハテの浜」。
360度どこを見渡してもエメラルドグリーンにきらめく海。さらさらとしたパウダーサンド。
「まるで、天国のよう…」と、あまりの美しさに、ただただぼーっと海を眺める。
真っ白な砂浜と透明度の高い海が美しく、訪れる誰もがベストショットを狙う憧れの場所。
砂浜についた波の形が印象的。歩いてみると、白い砂浜ははるか先まで続いているのがわかる。
実は「ハテの浜」とは、「メーヌ浜」、「ナカノ浜」、「ハテの浜」の3つの砂浜からできているのだ。
「ずっとここで過ごしたい」と思いながらも船の時間が来てしまい、最後にその絶景を目に焼き付けた。
シンリ浜で茜色に染まる空を眺める
久米島に戻った頃にはもう夕方。この時間帯にぜひ訪れたいのが「シンリ浜」だ。
西に位置しているビーチなので、夕陽を眺めるにはベストスポットなのだ。
砂浜に座り、海を眺めていると雲の隙間からオレンジ色の太陽が見えた。だんだんとあたりが茜色に染まっていく。
雲が風で押し流され、目の前の景色が瞬時にして変わっていくのが面白い。
刻々と変わる空の表情に、うっとりと見続けていた。
真っ赤な太陽が、水平線の彼方にゆっくりと沈んでいくのを見届けた。
普段、何気なく見ている夕日も、久米島で見ると、ひと味もふた味も違って、本当に感動的だ。
夜に見たのは神秘的な畳石と満天の星
1日の終わりに足を運んだのは、島の東部にある奥武島の「畳石」。
畳石は、畳石溶岩が固まってできた幾何学模様の岩のことで、亀の甲羅に似ていることから亀甲石とも呼ばれている。
そこには今にもこぼれ落ちそうな星と、遠くの街灯りに照らされて浮かび上がる畳石が織りなす幻想的な世界が広がっていた。
あまりの美しさに言葉を失い、その景色に釘付けになった。
久米島のフォトジェニックを探した絶景リレー。
穏やかな朝の景色から、ダイナミックな島の眺望、神秘的な夜の光景まで、日頃の喧騒から離れて過ごした一日は、とても濃密で、記憶に残るものとなった。
久米島にはまだまだ魅力的なスポットがたくさんありそうだ。
明日はどこへ行こうかとワクワクしながら、宿へと帰った。