沖縄・南大東島へスロートラベルのすすめ。複雑な歴史が生んだ独特な島カルチャーを体験

南大東島でスロートラベル

気の向くまま、心赴くままに旅をする。そんなスロウな旅(スロートラベル)へあなたを誘います。今回は沖縄の離島・南大東島へ。島の風土や体験、感じた想いなどを綴ります。

スロートラベルという言葉をご存知でしょうか。スロートラベルとは、旅程をぎゅっと詰め込まず、気の向くままに心の向く場所へ行き、その土地の風土をたのしむ旅行のスタイルのこと。地域の人々やその文化・風土との「繋がり」を大切にしながら、自ら体験をして地域社会、教育、環境に旅の重きを置いているのが特徴です。

 

南大東島ってどんな島?

沖縄本島の約400km東方に位置する大東諸島の島。北に約8km隔てる北大東島と相対し、南に約160km離れた沖大東島を含め、大東諸島と呼ばれます。長らく無人島だった時期を経て伊豆諸島にある八丈島出身の玉置半右衛門が島を開拓。そのため、八丈島の文化を色濃く受け継いでおり、沖縄と八丈島がミックスされた独特な文化が根づいています。

 

南大東島までのアクセス情報

南大東島までは空路と海路の2通りがあります。空路は那覇空港から琉球エアコミューター(RAC)にて約1時間のフライトとなります。1日2便が運航しています。海路ではフェリー「だいとう」で約15時間。毎月、週約1便、那覇市・泊港(または那覇新港埠頭)を出港します。便によって、南大東へ先に寄港するもの、北大東島へ先に寄港するものがあるので、事前に確認するとよいでしょう。

 

スロウな南大東島の旅へ

南大東島は今から約120年前に八丈島から渡ってきた人々が開拓を始め、沖縄方面からやってきた人々とともに島の文化をつくりあげてきた、ミックスカルチャーの島。

島の様子を掴むには、空港からほど近い「日の丸山展望台」がおすすめです。「日の丸山展望台」は海抜63メートルの位置にあり、パノラマで島を見渡すことができます。第二次世界大戦時はこの場所で旧日本軍が敵軍の監視を行っていたといいます。

展望台から一面に広がるサトウキビ畑が見えました。ざわわざわわと広がるサトウキビ畑に心が癒されます。

南大東島ではサトウキビの栽培が盛んで、それらを運ぶために軽便鉄道「シュガートレイン(別名:さとうきび列車)」が1917年に敷設されました。軌間762cm・総延長は約30kmにおよび、最盛期には島中に路線が張り巡らされていたそうです。1983年の収穫期を最後に全廃し、現在はトラック輸送へと変わっていますが、島内をかけめぐっていた鉄道にロマンを感じます。

 

南大東島には砂浜がない

大東諸島には砂浜がありません。そこで岩を掘り込んでつくった人工のプールが「海軍棒プール」。波がざぶざぶ入ってきて、プールというより海そのもの。なんともダイナミックなスポットです。

海が凪いでいる暑い日には、島の人々はここに集い、飛び込んだり、泳いだり。太平洋に突き出したプールを楽しむそう。

あたりには観光客も誰もいません。打ち寄せる波の力を感じながら、自分だけのひとときを過ごしました。悩みごとも吹き飛ばしてくれそうなワイルドな波音に元気をもらいます。

海軍棒プールは岩を掘ってつくられていますが、さらに大きく、壮大に彫り込まれてつくられたのが、島の北東部にある日本唯一の岩盤掘り込み式漁港・南大東漁港です。マグロやソデイカなどの海の幸に恵まれる海域にあるものの、絶壁に囲まれた島には安全に着岸できる漁港がありません。ならばと20数年もの年月と約300億円をかけてつくられたという巨大漁港です。

漁港だけでなく、定期船が就航する南大東島西港もおもしろいスポットです。切り立った岩壁に直接船をつけることは難しいため、船で大東諸島に来ると名物の「空中ゴンドラ」に乗り上陸します。その日の風向きのよって島にあるどの港に着くかが決まるようですが、巨大クレーンに吊られた「ゴンドラ」に乗っての上陸は想像するだけで心が踊ります。

 

南大東島のグルメ

旅をするとその土地のグルメが食べたくなります。南大東島のミックスカルチャーランチといえば、大東そばと大東寿司です。

八丈島など東京の島々では、近海で獲れた魚の刺身を醤油ベースのタレに漬け、甘めのシャリにのせた島寿司を食べる文化があり、それが大東諸島に渡って大東寿司となったそう。日本最南端といわれる大東島産のとうもろこしも島の名産です。

夜の南大東島も魅力的です。島の人口は約1,200人ですが、人口に対して飲食店の数が多く食堂や居酒屋、スナックがたくさんあります。

居酒屋「ろくさん」にてオリオンビールで乾杯し、島の夜がスタートです。大東名物のマグロたっぷりの刺し盛りに、ナワキリのバター焼き、イカの天ぷらに豚の炒めものなど、魅力的なメニューがズラリと並びます。

一通り楽しんだ後は「ろくさん」を出て社交街の小さな路地に入り込み、次のお店「サロン喜多」へ。常連さんが歌う沖縄の島唄はプロ級に上手く、聞き惚れながら泡盛を楽しみます。グラスの下に畳んだおしぼりを置くのは沖縄らしい。

島の食材を頂き、お酒を飲み、この島にある文化に触れることができました。島の人々と交流できるこの空間がたまりません。

南大東島にはまだまだたくさんの見どころがあります。自然なら星野洞にバリバリ岩、文化なら相撲や島唄、他にもたくさん行ってみたい場所があります。じっくり満喫するなら最低3泊……いや、気の向くままのスロートラベルなら1週間あっても足りないかもしれません。またその日まで。

 

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