心奪われる美しい自然と青い海
たくさんの素敵な出会いに感動する
阿嘉・慶留間2つの島めぐりへ

akagerma01_2

慶良間諸島にある阿嘉島と慶留間島。豊かな自然と美しい海に囲まれた静かで小さな2つの島は、海の上に美しいアーチを描く阿嘉大橋でつながっている。のんびり一人で島と島とを巡る小旅行“アイランドホッピング”を楽しむには、まさに理想的なロケーションだ。那覇から阿嘉島までは高速船に乗って約50分。原付バイクに乗って絶景の自然の中を走り、かつての島の暮らしを感じられる古民家の見学、島の食材を使ったイタリアン、そして天然記念物である野生動物との出会いを楽しむ。ひとりで気ままに巡った2つの島は、想像以上に素晴らしい出会いに満ちていた。

絶景の2つの島を爽快にバイクで巡る

akagerma01

初めて向かう阿嘉島。天然記念物であるケラマジカも棲んでいるという自然豊かな絶景の島と聞いたことがあり、期待がふくらむ。島にはレンタカーがなく自転車か原付バイクのレンタルになるようだ。近場を回るだけなら自転車でも良さそうだけど、今回は両方の島を回る計画。できるだけ自分でいろんなところ巡りたいし、何より心地よい風を感じながら楽に走れるということで、原付バイクをチョイスした。阿嘉大橋のたもとにあるレンタル屋さんで原付バイクを借りる。バイクに乗り、ふと橋を見上げると、海の輝きが橋桁までをキラキラと照らしている。橋にまで届くほどの美しい海の輝きに、改めて感動する。

阿嘉島No.1ビーチといわれるニシバマビーチを散歩

akagerma02

akagerma02_2

最初に向かったのは、阿嘉島のメインビーチともいわれるニシバマビーチ。阿嘉港から約2キロメートルほど北へ向かうと到着する。沖縄の方言では方位の「東」をアガリ、「西」をイリ、「南」をフェー、「北」をニシといい、本来ニシバマは「北浜」と書くのだそう。沖縄独特の表現が面白い。ビーチの海は透明度が高く、1.5メートルほどの水深でも珊瑚礁が点在し小魚が泳ぐ姿が見られる。はるばる海外からシュノーケリングの愛好家が訪れるほどの美しさだということで、今度訪れた際にはぜひ、シュノーケリングにも挑戦してみたいと思う。砂浜に腰を下ろして、ただ海を眺める。オフシーズンならではの静かなビーチで、何も考えなくて良い時間を気ままに楽しむなんて、一人旅ならではの最高の贅沢。

高台から慶良間ブルーを眺める、風の音に癒される時間

akagerma03

 

続いて、ニシバマ展望台へ。ウッドデッキの階段を上っていくと、目の前には一目で心を奪われる絶景が!渡嘉敷島から安室島、座間味島までぐるっと一望でき、あまりの壮大さに言葉を失う。仕事のことなんか忘れて、雲が形を変えるのをぼんやり眺めたり、日が差したり陰ったりすると表情を刻々と変える海面を眺めたり。聞こえてくるのは心地よい風の音だけ。ゆったりとした時間に身を預け、自然の中に溶け込むような感覚を味わう。この素晴らしい体験こそ、離島の楽しみ方だと改めて実感した。

阿嘉大橋を渡っていよいよ慶留間島へ!

akagerma04_1

阿嘉島からおよそ530メートルの阿嘉大橋を渡れば、慶留間島に到着だ。橋の上から眺める海も最高で、ここでも慶良間ブルーを堪能。運がいいとウミガメの姿も見られるのだとか。ふだんあまり乗らない原付バイクの運転はちょっと心配だったけど、島は交通量も少ないし、安全運転を心がけていれば大丈夫。大きな海の上にアーチをかける美しい橋を、全身に海風を感じながら走るのって、とても特別な体験だと感じる。こんな気持ちは都会じゃ絶対に味わえない。

島で唯一の国指定重要文化財 高良家を見学

akagerma06

貴重な島の語り部でもある中村武次郎さん

今回、楽しみにしていたことの一つが、国指定の重要文化財でもある高良家(たからけ)の見学。管理をされている中村武次郎さんが、高良家についての説明をしてくれる。高良家は、琉球王国時代の終わり頃、王府の公用船で船頭をつとめていた仲村渠親雲上(なかんだかりペーチン)が建てたとされているのだとか。また、中村武次郎さんによると、「沖縄では玄関がある古民家は珍しくて、これは大正時代に増築されたもの」だと言う。言われてみれば、他の古民家は、台所の土間や縁側から出入りした気がする。立派な赤瓦の屋根からは想像できないけど、「琉球王国時代は茅葺きの屋根だった」そう。柱や石垣に残る戦時中の機銃の跡にも歴史を感じる。「亜熱帯の気候でも過ごしやすいように、建物はとても通気性のよい構造です。かまどの上のかごには食べ物を保管していたんですよ。」そんな中村さんの説明を聞きながら見学していると、歴史だけでなく生活の工夫など、当時の暮らしの息遣いをとてもリアルに感じられた。目を閉じると、生活していた人たちの様子まで浮かんでくるようだ。中村さんに「島に来るのは初めて?」と聞かれ、「はい、いいところですね」と答えると、「空や海は昔と変わらないねぇ、静かでいいところでしょう。ゆっくりしていったらいいさー」というお言葉。なんだかほっこりしてしまう。

akagerma05_1

見事な入り口の石積みは、沖縄本島からわざわざ石工を呼んで積んだのだとか。「石垣にある穴は戦争中の鉄砲の跡」だと中村武次郎さん。

akagerma05_2

伝統的な沖縄の家屋は、通気性重視の開放的なデザイン。亜熱帯の地域で暮らす知恵だ。

akagerma05_3

建物の裏側にあったのは、豚小屋。人間の排泄物を豚が食べる、究極のエコトイレだったのだそう。

akagerma05_4

かまどがある昔のキッチン。上に吊るされているのが食べ物を保管するカゴ。

akagerma05_5

裏座と呼ばれる家族の寝室に使われたスペースには、囲炉裏があった。

島の食材をつかった絶品イタリアンを味わう

akagerma07

ランチは、慶留間島のイタリアンの名店「トラットリアバー慶留間gnon(ゲルマニヨン)」へ。慶留間島に移り住んで10年のオーナーシェフ前田さんが、自家栽培で育てた野菜を使って、絶品イタリアンのランチやディナーを作ってくれる。島の食材を使うため、季節によって野菜も魚も変わり、メニューはその時によるとのこと。新鮮で、安心・安全な食材を使いたいというこだわりを、離島でここまで徹底できるのがすごい。逆に、島だから可能になることもあるのかな。以前はサメ料理も出していたと聞いてビックリ。カジキマグロを釣るはえ縄にひっかかったハンマーヘッドシャークを、商品にならないから捨てると聞き、「カジキと同じ値段で引き取る」と前田さんが漁協に掛け合って仕入れるようになったのだそう。ハンマーヘッドシャークはサメだけどアンモニア臭などはなく、おいしく食べられるとのこと。今ではそのおいしさを知った他の飲食店もハンマーヘッドシャークを仕入れ始めたため、なかなか入手できなくなったとか。「ハンマーヘッドでそんなことがあってからは、漁協の人たちとも打ちとけて話をするようになりました。島はヨコのつながりが強いんです。島の人間は全員顔見知り。釣った魚を持ってきてくれる人がいたり、とれた野菜を黙って置いていく人がいたりするのも、ありがたいですね。」10年も暮らし、すっかり島にとけこんでいるんだなぁと感じる。

島の暮らしぶりについてお話を聞きながら、楽しくランチをいただいた。

仕入れも席数も限られていることもあって、ランチ・ディナーは共に予約制。慶留間島に行くなら、ぜひ予約を入れておきたい。ただし、席と食材に余裕があればまれに予約なしでも入れる場合もあるとか。

akagerma07_2

手前が野菜たっぷりの前菜で、奥にあるのが冷製スープ、パスタは野菜たっぷりカジキのペペロンチーノ、メインはチキンとカジキの胃袋。デザートは黒糖のメレンゲアイスで、これまた絶品。(ゲルマニヨンコース 税別 2,200円)

akagerma07_3

右がオーナーシェフの前田正樹さん。左の奥さまは慶留間島出身。時々、お子さんがお店を手伝いに来てくれる。気さくでおしゃれで、自然体。前田家みたいな島暮らしには憧れてしまう。

天然記念物ケラマジカとの偶然の出会い

akagerma08_1

ゆっくり食事を楽しんだら、阿嘉島へ戻り、今度は島の西側にある後原(クシバル)展望台へ。阿嘉の集落からは約4キロメートル。アップダウンもあるので、やっぱり原付バイクが正解。初めての道だし、景色も楽しみたいのでゆっくり安全運転で走る。そして、偶然にも旅の途中でケラマジカにも遭遇!江戸時代に薩摩から移入されたニホンジカが、慶良間諸島で繁殖し固有の特徴を持つようになったのだそうで、国の天然記念物に指定されている。他の地域で見るニホンジカより体が小さくて、ツノの内側にこぶがあるそうだ。話には聞いていたけどまさか本当に出会えるなんてラッキーだ。目の前に見るその姿は、雄々しくしくもあり、またかわいらしい。その感動は言葉にできない。野生動物なので驚かさないように気を付けながら、出発した。

後原展望台で眺めるサンセット

akagerma08_2

akagerma08_3

ケラマジカと出会った感動の余韻にひたりつつ、後原展望台に到着!展望台からの眺めはとても素晴らしく、ゆっくり沈んでいく夕日を眺めた。日が完全に沈むまで眺めていたかったけど、レンタルバイクの返却時間もあり、引き上げることに。サンセットで染まる空の中を原付バイクで走りながら、慶良間ブルーの美しい海、爽快な阿嘉大橋、歴史ある高良家住宅に美味しい食事、そしてケラマジカとの出会いを思い返す。こんなに充実した一日を過ごせるなんて。冒険したいとき、全身で感動を味わいたいとき、この2つの島を巡る旅を、ぜひ体験してほしい。

 

Information 基本情報

レンタルショップしょう(阿嘉島)

住所 沖縄県島尻郡座間味村字阿嘉3番地
TEL 090-1179-2839
備考 4~9月 9:00~19:00、10~3月 9:00~18:00
料金:
原付バイク(50㏄)1時間まで1,500円
3時間まで2,500円
5時間以上営業時間内5,000円

自転車のみレンタル1時間300円
4時間800円
24時間1,500円

自転車+シュノーケルセット1時間700円
4時間1,600円
24時間2,500円
※原付バイクは二人乗りできません。
※原付バイクには泊まり料金の設定はありません。
URL https://www.vill.zamami.okinawa.jp/guidemap/detail/227/

高良家

住所 沖縄県島尻郡座間味村慶留間
TEL 098-987-2153(座間味村教育委員会)
備考 見学時間:9:00~17:00
定休日:月曜日
見学料:300円

トラットリアバー 慶留間gnon(ゲルマニヨン)

住所 沖縄県島尻郡座間味村字慶留間54番地
TEL 098-987-2650
備考 営業時間:12時開店。完全予約制
定休日:火曜日
※ランチ、ディナーとも予約制
※ランチは2,000円~、ディナーは3,800円~
URL https://gerumagnon.wixsite.com/gerumagnon
  • SHARE

RECOMMEND ARTICLEこちらの記事もおすすめです

座間味島でヨガ体験。日常から離れ、島の自然とつながるウェルネス旅
伊平屋島の「リトリートプログラム」で極上の癒しを体験
久米島での「もう1泊」にキャンプという選択肢を。 お手軽な久米島キャンプの魅力
伊是名島のライトゲーム釣行で何が釣れる? 釣りマニアは必見!「釣りYouTuberと巡る」沖縄の離島旅
石垣島ケイビングで「究極の冒険」へ出かけよう
やっぱり島の人が好き!多良間島の人と繋がり伝統や文化を学ぶスローな旅へ
座間味島でのサイクリング事情を調査!気軽にサイクリングできる?
渡嘉敷島でサイクリングを楽しもう!今話題のサイクリングツアーに参加してみた