沖縄本島から360キロ東にある南大東島。飛行機では約1時間、船を利用すると13時間かかる島には、地上から地下まで、たくさんのスポットが小さな島にギュッと詰まっている。現在でも北西方向に少しずつ移動しているという南大東島は、島のあちこちで「ドキドキ!ワクワク!」を感じさせてくれる島だ。
今でも動き続ける島の秘密とは
南大東島ってどんな島なのかなと思い、やってきたのは日の丸展望台。ここからなら島全体を一望できるという。階段を上って、展望台の上から360度、ぐるっと島を眺めてみた。
目の前に広がっているのは、見渡す限りのサトウキビ畑。中央部分がほん少しくぼんで盆地状になっているのが分かる。そこには大小50ものカルスト沼湖が点在しているそうだ。島の一周は20キロほど。サンゴ礁が隆起してできた島で、海岸線は15〜30メートルの断崖絶壁。以前は、絶海の孤島と呼ばれていたんだとか。
展望台から島の中心地へ移動してみると、リュウキュウマツの群生を見つけた。元々は、島を開拓した玉置半右衛門が経営する会社があったよう。開拓者の魂を引き継いだようにも見えるたくましい幹に、松の葉がやわらかな木陰を作っている。島の人たちは今でもこの場所を大切にしていて、玉置さんの命日には集っているそうだ。
自転車をびゅーんと走らせて、島の北側へ。そこにあるのが、パワースポットとして島の人たちが大切にしているバリバリ岩だ。実際に岩が割れる「バリバリ」という音は聞こえないけれど、長い時間をかけて島が少しずつ移動して、徐々にすき間ができて、今は人が通れるほどに。岩の迫力や草木の生命力、葉の間からこぼれる光などを感じていると、体の中に自然のパワーが入っていくよう。
地上を楽しんだ後は、地下の世界へ行ってみる。バリバリ岩から少し離れた所にあるのが、鍾乳洞・星野洞だ。南大東島は石灰岩でできているので、100以上の鍾乳洞が島のあちこちに点在しているらしい。その中でも最大規模を誇るのが星野洞で、入り口が広い畑の真ん中にポツリと立っている。向こうには何があるのか、ドキドキワクワク!
階段を下りると、神秘的な光景が待っていた。全長375メートル、約1,000坪の空間には、ライトアップされた鍾乳石が。長く延びた石や地面から生えている石筍、天井も床も鍾乳石で覆いつくされていて、まさに圧巻!外気に触れることがないので、劣化することもなく、状態のいい真っ白な鍾乳石なんだとか。洞窟の中は、まるで異次元の世界へ空間移動したみたい!
開拓者たちの息吹を感じて島の歴史に触れ合う
自然を満喫した後は、商店に立ち寄ってちょっと休憩。水分補給したら、再び島めぐりスタート。
星野洞から南へ移動した海側に、開拓者・玉置半右衛門の上陸記念碑があった。1930年に2本から3本に増えたんだそう。開拓者への尊敬の想いは、島の人たちのパイオニア魂につながっているのかもしれない。
南大東島の一大産業は、サトウキビ栽培と製糖業。島には「シュガートレイン」という、沖縄で初めて敷かれた鉄道が残っている。大正時代から昭和時代にかけて65年以上、サトウキビを運ぶために島内の総延長30キロを走っていたらしい。
現在でもふるさと文化センターの隣に展示・保存されていて、近くで見ることができる。すっかりサビついてしまった車両だけど、たくさんのサトウキビを積んで颯爽と走っている姿が浮かんできた。
ドキドキワクワク!がいっぱいの島を満喫していたら、日がゆっくりと傾きだした。西港近くにある夕日の広場は、絶好のサンセットスポット。ダイナミックな島の自然、積み重ねてきた歴史、そして開拓者のスピリットなど、たくさんの出来事を振り返りながら、静かに暮れていく空を眺めていた。
出典記事:たびらい