比嘉さんが切り開く「いへや島焼き」
沖縄の焼き物(やちむん)は、琉球の時代から盛んだったという。
ここ伊平屋島(いへやじま)にもユニークな焼き物工房があると聞いて「いへや島焼き」の窯元を訪れてみた。
この窯の主である比嘉武(ひがたけし)さんは、仕事を引退後に生まれ育ったこの島に戻り、「この島に貢献できることを」と、独学で焼き物を始めたそうだ。
試行錯誤の上、「いへや島焼き」として窯元を創業したのだという。
素材は伊平屋島産にこだわり、散歩の度に新しい土を持って帰っては試す日々。
作品も他にはないユニークなものを手がけ、15年経った今ではすっかり伊平屋島を代表する焼き物になった。
この島を代表するイベント「伊平屋ムーンライトマラソン」でもらえるメダルも、比嘉さんが焼いたものだという。
特に最近の自信作は、花やロウソクを飾ることができる壺型の燭台。
結婚式や祝事の場で使うことをイメージしているそうだが、
「自分で考えたものなのだが、何と説明すればいいか難しいよ」と笑う比嘉さん。
また、伊平屋島ならではの琉歌を綴った酒瓶にも凝っているとか。
「これに酒を入れるとおいしいんだよ」と比嘉さん。
こだわり抜いた素材と思いのこもった酒瓶でいただくお酒は、美味しいに違いない。
自慢の作品に囲まれた「いへや島焼き」の比嘉さん
比嘉さんならではのユニークな壺型の燭台(中央)
ハラハラ、ドキドキの洞窟潜入!
陶芸家の比嘉さんに「面白い洞窟があるよ」と案内してもらった。
しかし、現地についても洞窟らしきものは見当たらない。
どこに洞窟が?と思っていたら、比嘉さんがニヤリ。
「ここだよ」と教えてくれたのは、大きな崖の途中にあるわずかな岩の隙間だった。
人ひとりが身をエビのように沿って、やっと通れるくらいの隙間を通って中へ入る比嘉さん。
その後ろをドキドキしながら付いていくと、目の前に真っ暗な空間が広がった。
少したって目が慣れると、そこがかなり広い洞窟だとわかる。
何十人もの人が一度に座れるほどの広い空間だ。
クマヤ洞窟と呼ばれるこの洞窟は、全国各地に残る天の岩戸伝説の最南端の地とも言われているらしい。
なるほど、外から見たら誰もここに洞窟があるとは思えない。
外界と隔てられた静寂な闇の世界に身を置くと、太古の神や人々の息吹が伝わってくるようだ。
中央にあるわずかな岩の隙間が入り口だ!
内部はとても広い洞窟になっている
美しい伊平屋島のシンボル
島のおじぃやおばぁよりも長く、この島の歴史を見守ってきた一本の木がある。
それが念頭平松(ねんとうひらまつ)と呼ばれる松の古木。
樹齢約300年で最長幅はなんと14.5m。
見事な姿形は「これぞ松!」と言いたくなるほど立派なもの。
松の周りを歩いてみると、見る角度によってさまざまな表情を見せてくれる。
今では保護のため柵内に立ち入ることはできないが、
「小学校の頃は、この松の下で遠足の弁当を食べたのよ」と島の女性。
実はこの松、訪れたつい一週間ほど前に、国の文化審議委員会が国指定天然記念物への指定を答申したばかりだという。
正式に指定されると、松も伊平屋島もますます有名になりそうだ。
国指定天然記念物に指定される予定の念頭平松