旅人を助けるスーパー観光協会
島での移動手段として自転車を借りようと思い、粟国村観光協会を訪れた。
訪れてビックリ。
ここはこの島の観光案内所でもあり、この島唯一のレンタカー会社でもあり、唯一のレンタサイクル会社でもあり、そして特産品販売所でもある。
この小さな島の旅人のニーズを何でもかなえるスーパー観光協会だったのだ。
おまけにレンタカーは環境にやさしいEVカー(電気自動車)、
レンタサイクルは旅人にやさしい電動アシストサイクルと、優しさ尽くめ。
さらに島内をもっと楽しみたい人のために「集落散策」「海岸散策」「物作り体験」「料理体験」「染物体験」などのメニューも用意しているという。
これだけあれば、もう言うことナシ!
「粟国島をじっくり楽しんで下さいね」と、職員の伊佐晃(いさあきら)さん。
さあ、レンタサイクルで島内散策に出発だ!
レンタカーやレンタサイクルは整備もバッチリ!
幻想的な地下に広がる聖地
粟国島は火の神様が住んでいると言われ、火の神様をお迎えする祭祀や島内各所にパワースポットがあると言われている。
そのひとつとされる洞寺(てら)を訪れてみた。
ここは、大昔に那覇の僧侶が問答に負け粟国島へ流刑となった後、この場所で生涯に渡って読経をし続け亡くなったと言われる鍾乳洞で、今でもここを聖地と崇め、島内外から拝みに来る人が後を絶たないという。
鍾乳洞内に一歩足を踏み入れてみて驚いた。照明に照らされて立派な石筍や石柱の数々が浮かび上がり、迫力ある流華石(フローストーン)が洞窟の壁を彩っている。
やはり粟国島の聖地。ただものではない雰囲気がヒシヒシと伝わってくる。
洞窟内にある拝所でしっかりと手を合わせ、頭を下げた。
鍾乳石が浮かび上がって幻想的な洞寺(てら)
レトロな食堂と黒電話
粟国港は昔ながらのレトロな雰囲気がたっぷり残っている。
船客待合所の二階に上がると、昔ながらの素朴な食堂があった。
名前を「みなと食堂」といい、おばぁが一人で切り盛りしていて、メニューは「みなとそば大」「みなとそば小」の二つだけ。
ちなみに営業しているのは「おばぁが来た日だけ」らしい(島の人談)。
「みなとそば大」を注文して待っていると、カウンターの上に懐かしい黒電話を発見!
まだ現役で使っているそうで、「懐かしいでしょ?」と笑うおばぁ。
郷愁を誘う、おばぁと黒電話を見つめていると、故郷の家族の声を聞きたくなった。しばし、旅情に浸り、ゆっくりとした時間に身を任せてみた。
おばぁにとっても懐かしいという黒電話