丸麺だけじゃない八重山そば
いよいよ、沖縄の35離島を巡る旅の始まりだ。
腹が減っては、何とやら…!
最初の訪問地、石垣島でおなかが空いたので食堂で八重山そばを注文。
出てきたのは「そば」とは言ってもラーメンに近い、歯ごたえのいい平麺に豚の三枚肉の煮付けが乗ったもの。
スープはちょっと濁ったあっさり豚骨だ。
テーブルに置かれたピリリと辛いコーレーグース(泡盛に島唐辛子を漬けたもの)と、ぴーやし(島の胡椒)で好みの味に調節するのが島流だ。
暑さでバテた身体に優しいあっさり味が嬉しくて一気に完食。
でも、八重山そばの基本は細目の丸麺だと聞く。
「何で?」と女将に聞いたら、「私がこっちが好きだから」と目を細めて笑った。
カメラマン不要の川平湾
沖縄や石垣島を紹介するとき、必ずといっていいほど使われるのが川平湾の写真だ。
青い空に澄み切ったエメラルドブルーの海、そして白い砂浜。
浮かぶボグラスボートに赤いブーゲンビリアという役者も加わって、もう言うことなし。
でも、それだけにカメラマン泣かせの場所でもある。
なぜって、誰が撮っても簡単に美しく写ってしまうからだ。
それならカメラマンなんて必要ない。
悔しいので、一生懸命色々な角度から撮ってみる。
下から、上から、斜めから。でも、やっぱり普通に撮るのが一番美しい。
ううむ、悔しい。
沈黙の御神崎
石垣島の最西端にある御神崎(うがんざき)には、夕方になると続々と人が集まってくる。
みんなの目当ては沈みゆく夕陽だ。
灯台のある高台にも、ガジュマルの木が立ち並ぶ緑の斜面にも、時間が経つにつれ人がひとり、またひとりと増えていく。
寝転ぶ人、座って本を読む人、恋人と語らう人…。皆それぞれが思い思いのスタイルで日暮れを待っている。
「そろそろだね」「明日は晴れるよね」なんていう会話が聞こえてくる。
とうとう太陽が西表島の右側に沈み始めた。
いつの間にか皆は黙り込み、カメラのシャッター音だけが響いている。
最後のひと筋の光が消えた瞬間、みんなの「ふ~っ」というため息が響いた。
おばぁが頑張る石垣市公設市場
ちょっと前にはなかったけれど、今では石垣にもコンビニや大型スーパーがある。
それでも昔のスタイルで頑張ってるのが石垣市公設市場。
建物の中では肉や魚がずらりと並び、外では果物や野菜を所狭しと並べておばぁが道行く人に声をかける。
「はい、寄ってね」「これ、新鮮さぁ」
おばぁの声に、足がついつい止まってしまう。
「これ、おいしいよ」とおばぁ。
じつはさっき買ったんだけどな…。
でもいいや、おばぁが言うならもう一個買っちゃおう。