神を迎える道を歩いて
久高島(くだがじま)は琉球の創造神アマミキヨが降臨し、国づくりを始めた地とされ、琉球神話の聖地と崇められている島だ。
その由緒を詳しく知りたくなってガイドツアーに参加してみた。
案内してくれたのはこの島生まれの西銘政秀(にしめまさひで)さん。
「この島は単なるパワースポットではないんですよ」。
パワースポットだと聞いてなんとなく島を訪れ、名所を見ただけで帰って行く人もいるが、それでは久高島の本当の良さは分からない。
「まずは琉球の歴史や、その意味を知って欲しいですね」と西銘さん。
県外からガイドツアーに参加した女性に島の歴史を説明する西銘さん
例えばカベール岬からまっすぐに続く道がある。
ここはただの雰囲気がいい道ではない。
久高島に上陸した神様が、この道を通って祭祀の場所に向かう神聖な道なのだという。
それを知れば、この道もまた違った姿に見えてくる。
道の真ん中に立って、神様が降りてくるという方向を眺めてみると、
なんとなく、神秘的な感じがした・・・。
神様はカベール岬からこの道を通って島に入っていくという
「感謝」から始まる神への祈り!
琉球国由来記の五穀伝説の地でもあり、今でも祭祀が行われるイシキ浜を訪れた。
ここでは今でも年に一度、ウプヌシガナシーという祭祀が執り行われる最も重要な場所だという。
しかし、ここでいったい私たちは何を思えばいいのだろう?
「まずは神に対して感謝するということです」と西銘さん。
この島で行われる祭祀も、まずは感謝の祈りから始まるという。
それから初めて、国王の長寿、国の繁栄、五穀豊穣、航海安全などを祈るのだ。
それを聞いてハッとした。
よく考えると、神様に手を合わせるときはいつも、お願いするのは自分のことばかり。
それはムシが良すぎるのかもしれない。
琉球国由来記の五穀伝説の地でもあり、今でも祭祀が行われるイシキ浜で
神聖なるイラブー
沖縄の食文化のひとつで、この島の特産品でもあるイラブー(エラブウミヘビ)。
久高島では、琉球王朝時代から、国王への献上品として最高級のイラブ―燻製を作る技術が受け継がれてきた。
「ちょうど燻製ができあがったよ」と、西銘さんがその現場を見せてくれた。
そこで目にしたのはずらりと並んだ真っ黒なイラブーたち。
「七日間かけてじっくり燻製にするんです」と西銘さん。
これらはイラブー汁として食べたり、粉末を滋養強壮剤として飲んだりするそう。
また、2015年にはイラブー粉末を練り込んだ、高級なちんすこう「きんそこう」も誕生したという。久高島のお土産にいかが?
神様にもお供えされる神聖なイラブーの燻製
イラブーの粉末が練り込まれた「イラブーきんそこう」も