宮古島(みやこじま)から、長さ約3.5キロメートルもある伊良部(いらぶ)大橋を渡るとたどり着く伊良部島。そして、伊良部島とぴったりくっつくようにある下地島(しもじじま)の間は、マングローブが生い茂る入り江になっています。そこにはマングローブ蟹といわれる大きなワタリガニ「ガザミ」も生息しています。その蟹漁を体験し、実際に味わうことができるツアーに参加させてもらいました! 伊良部島の「佐和田(さわだ)の浜」近くで集合し、“蟹蔵”の愛称で親しまれている吉浜崇浩(よしはま たかひろ)さんのもとへ。
吉浜さんは、生まれ育った伊良部島でマングローブ蟹の保護活動と養殖を行っており、小さい頃からこのあたりの入り江を遊び場にしていたそうで、地形やそこに生息する生き物、植物などマングローブの生態系を知り尽くしている入り江のスペシャリスト。高校卒業後に本土へ出て、その後島へ戻ってきた時に、白い砂浜の減少など、入り江の環境の変化を目にしました。
同時に、久しぶりに食べたガザミは「世界一おいしい蟹だ!」と思ったのだそう。「高級蟹よりも地元の蟹がこんなにも美味しかったなんて。多くの人に食べてもらい、その美味しさを知ってもらいたい」と、今から10年前に養殖をはじめました。
入り江の環境の変化について調べた結果、その生態系も崩れてきていることもわかり、ガザミの数もかなり減ってきているため、繁殖させた蟹の稚蟹を放流する活動も行っているそうです。
それではいざ、ツアー開始! 入り江へと入っていきます。
マングローブ林の奥深くに分け入っていくにつれて、探検のわくわく感が高まってきます。吉浜さんが仕掛けた蟹カゴをひとつひとつ確認していきます。マングローブの生態やそこにいる動物のこと、たくさんの豆知識を教えてもらいながら進んでいくと… この日は4つ目のカゴでヒット!
かかっていたのは、ベニツケモドキというカニでした。300グラムほどにしかならない小さい種類だけれど、ダシがおいしいとのこと。
そして、小さめだけれどガザミもかかっていました。(※こんなに簡単そうにガザミをつかめるのは吉浜さんだから。一般の人は触ることはできません)
歩いていると一番たくさん見かけるのがシオマネキです。
片方のハサミだけ大きいのが特徴のシオマネキ。すばしこく動き回っていますが、こちらが動かずにじっと気配を消していると、すぐ近くに出てきて捕まえられることも。捕まえるとまったく動かなくなり、手のひらにのせてじっくりと観察することまでできてしまいます。ピンとたった目がかわいらしい!
ほかにも、この日は見られませんでしたが、まん丸の体をしたミナミコメツキガニの大群が移動していることも。魚を狙っているサギなどの鳥もあらわれます。
こちらはマングローブを形成するヒルギの一種、オヒルギの花。別名アカバナヒルギと呼ばれています。
体験漁から戻ると、吉浜さんの奥さんが準備してくれていたガザミ料理が待っています。食べるためには泥ぬきが必要なので、食べられるのは事前に用意されたものです。
蒸されてきれいな赤い色になったガザミ。そして、脱皮したての柔らかいソフトシェルクラブのから揚げもあります。
蒸しただけのガザミの太いハサミにはぎっしりと身がつまり、プリプリとした旨みたっぷり! 胴体部分には、蟹の卵子であるオレンジ色の内子もびっしりです。この内子も歯ごたえがあって格別。
ソフトシェルクラブのから揚げは、軽く衣をつけて揚げただけのもの。揚げたてをひと口いただくと、さくっとしたあとに香ばしい味わいが広がって、素材そのものの味がなんと美味しいこと! そして、胴体部分にお米を入れて、ほぐした身と蟹みそを混ぜて食べるごはんも絶品です。
ちょうど夕暮れ時で、きれいな夕焼けを眺めながら島の自然の恵みを贅沢にいただきました。蟹三昧でお腹が満たされたところでツアーはおしまい。
島の自然環境のバランスを守って、伊良部のきれいな海をいつまでも残したい。地元の漁師さんたちとも協力しながら、観光で訪れる人たちにもその想いを伝え、島を元気にしていきたい。吉浜さんの熱い想いが十分に伝わってきたツアーでした。
沖縄県内でもなかなか体験できない蟹漁。伊良部島の蟹のスペシャリスト、吉浜さんの熱いツアーに参加してみませんか?
Information 基本情報
一般社団法人 宮古島観光協会
住所 | 沖縄県宮古島市平良字西里187番地2階 |
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TEL | 0980-73-1881 |
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