潮風を受けて新しい橋を渡る
2015年1月に完成したばかりの伊良部大橋を渡って伊良部島に向かった。
伊良部島と宮古島を結ぶこの橋は、全長3,540mもあり無料で渡れる橋としては日本最長だそうだ。
宮古島側から走り出すと、しばらくはまっすぐ海の上を走る。
宮古ブルーの海を両脇に見ながら車を走らせる。気分は爽快だ!
橋は中ほどでグングンと高さを上げ、一番高い場所から海を見下ろすと怖いほど。
実はここをフェリーが通るからこの高さになっているのだ。
今までは船でしか行けなかった伊良部島が、いよいよ近づいてきた。
島で生まれたおじぃやおばぁが初めてここを通った時、
きっと感慨深かったに違いない。
一番高い場所では27mもある伊良部大橋
カツオが踊る佐良浜漁港
伊良部大橋を渡り一路、佐良浜(さらはま)漁港へ。
佐良浜漁港に立って海を見ていると、どこからか演歌が聞こえてきた。
それもかなりの音量だ。
誰かがカラオケでも?と思っていると、「これはあいつの船だな!」と近くにいたおじぃがつぶやく。
ほどなく漁船が港に入ってきた。なんと演歌は漁船から聞こえていたのだ。
演歌は大漁を知らせるサインだった。
船が桟橋に着くと、人々がワッと集まりすぐに水揚げが始まる。
この船のメインはカツオのようだ。
大きいのはこっち、小さいのはこっち、と手際よくカゴに仕分けされ、
カゴの中では銀色の胴体がにぶく光っている。
桟橋の側では、大きなまな板の上でカツオをさばき始めている。
重いカツオをエイッと持ち上げ、そのまま空中で豪快に包丁を入れる。
みるみるうちに三枚におろされた刺身が並んでいく。
慣れたお客さんはその横で値段の交渉をしている。
これだけ新鮮な魚を目の当たりにすると、もう魚を食べない訳にはいかない。
港の食堂でカツオ料理を食べよう!
大きさ別にカゴに入れられるカツオたち
港では屈強な男たちが魚をさばいている
名物のマグロ&カツオ桶盛り丼に舌鼓を打つ
昔ながらの製法で作るカツオの「なまり節」も名物
※なまり節:鰹節になる前の鰹を少し強めにスモークしたようなもの
迷路のような港町の集落散歩
佐良浜漁港の背後に広がるのは、家がひしめきあった迷路のような昔ながらの集落。
まるでイタリアのシチリア島を彷彿とさせるその内側を見たくて
集落散策ツアー「やーがまくーがま」に参加した。
「やーがまくーがま」とは、佐良浜の言葉で「あっちの家に寄り、こっちの家に寄り」という意味だそう。佐良浜のディープな魅力を探求するこのツアーの案内人はこの港町で生まれ育った普天間一子(ふてんまかずこ)さん。
普天間さんについて細い集落内の道を進んで行くと、あちこちのおばぁから声がかかる。
「元気?」
「あら、今日も来たの?」
「ウチにも寄ってね」
そのたびに島のおばぁと立ち話。なんだかみんなとっても温かい。
港を一望できる高台に来た。
「このスカッと抜けた空と海を見ないとダメなんですよ」と普天間さん。
普天間さんも一度は県外に出たこともあったが、
やっぱりここの空と空気がいい!と戻ってきたのだそう。
「僕もこんなところに住んでみたいなぁ」、と言ったら、
通りがかったおばぁが言った。
「裏の家が空いてるさぁ」
海も空も、そして人も、みな爽快だ。
伊良部島の青空を見ると笑顔になる普天間さん
港を見下ろす集落の中を散歩
島のおばぁの家にお邪魔して休憩タイム