海の上に浮かぶ橋を探して
沖縄本島から西へ約100kmに位置する久米島。東洋一美しいと言われる砂洲「ハテの浜」や、水深612mから取水する「海洋深層水」などが有名な自然豊かな島です。那覇空港から約30分のフライトで到着できるため、アクセスの良さから近年注目が集まっています。
その久米島にSNSなどで話題になっている橋があるといいます。その橋は「シールガチ橋」と呼ばれ、「海の上に浮かぶ不思議な橋」なのだとか。一体、どんな橋なのでしょうか??百聞は一見に如かず。早速、現地を訪ねてみました。
と言っても、シールガチ橋までの案内板などはありません。目印となるのは、久米島漁業協同組合の看板。この看板の奥に進むと広い空き地があり、そこからアダンの木の間を通り抜け、ビーチへと降りて行きます。すでにワクワクが止まりません!ビーチに到着すると、美しい海岸の風景が目に飛び込んできます。沖合に橋らしきものがありますが、ビーチからはよく見えません。それでは、シールガチ橋に近づいてみましょう。期待に胸が高鳴ります!
シールガチ橋までは、リーフが見えるくらい潮が引いた干潮時にしか行くことが出来ません。ゴツゴツした岩場は足を取られたり、岩に付着している海草で滑ったりします。マリンシューズは必須アイテム!もしくは濡れてもいい靴を用意しましょう。
また、潮が満ちると陸の方へ戻れなくなる可能性があるため、訪れる際は、必ず潮見表を確認しましょう。
沖合のシールガチ橋を目指して
シールガチ橋は、海岸からおよそ100mの沖合にあります。途中の潮溜まりには、まるで私たちを歓迎してくれているかのように小さなカニや、素早く動くシャコ、色鮮やかな熱帯魚等、多くの生物たちがいました。橋に向かう途中ですでに楽しい!あっという間に、橋の近くまでやって来ました。
それではいよいよ、「海の上に浮かぶ不思議な橋」シールガチ橋をご紹介します!
間近で見ると大迫力!聞いていた通り、海の上に橋が浮いているように見えます。一体なぜ、このような橋が作られたのでしょうか?その答えはシールガチ橋の上に登ると分かりました。
何と橋の下を、船が勢いよく過ぎて行くのです。よく見ると橋の下は海の色が濃く、水深が深くなっていることが分かります。これは干潮時にも船が通れるように、人工的に航路を作ったからだそうです。
しかし航路を作ったことによって、対岸の潮干狩りや釣りに適した漁場に歩いて行けなくなってしまいました。そのために作られたのがこのシールガチ橋なのです。海の上に浮かぶ橋とは、地元の方たちが安全に漁場に行くために作られた橋なのでした。
雄大な景色に目を奪われていると、橋を渡って来る方が!お話を伺うと地元の釣り人で、いつもシールガチ橋を渡って対岸の漁場に行き、釣りを楽しんでいるとのこと。
「ここは干潮時にはよく魚が釣れるよ!」と、クーラーボックスから大きな魚を1匹、持ち上げて見せてくれました。シールガチ橋は今でも地元の方に活用されていることを実感しました。
シールガチ橋の名前の由来とは?
「シールガチ」という変わった名前ですが、この場所でかつて「シール」と呼ばれる魚の群れを「ガチ」と呼ばれる魚垣で獲っていた事から名付けられたそうです。
垣(ガチ)は、珊瑚礁の浅瀬に石を積み上げ、引き潮の際に取り残される魚を獲る仕掛けのことで、いまでもその名残を海の底に見ることができます。
シールガチ橋の楽しみ方
時折、橋の下を船が通りますが、シールガチ橋はとても静かな場所です。橋の上からの景色は正に絶景!すぐ近くにある島々を一望することが出来ます。ゆっくり流れる雲を眺めながら、都会の喧騒を忘れ、心地良い風に身を委ねて贅沢な時間が過ごせます。
海をじっくり観察していると、海亀やマンタが現れることもあるそうです。海亀は呼吸をするために水面に顔を出すこともあるのだとか!写真に収められたら、とてもラッキーですね!
橋の下を船が通り過ぎたり、釣り人が橋を渡っていたりする光景を見ていると、シールガチ橋は久米島の自然と人々の共存のシンボルのように思えました。この日は運良く晴れていましたが、季節や天候、時間帯によって様々な表情を見せてくれることでしょう。
普段の生活では見ることができない光景に心を奪われ、時間が経つのをすっかり忘れていました。名残惜しいですが、潮が満ち始める前にシールガチ橋を後にすることにしましょう。
久米島を訪れる理由が、またひとつ増えました。
Information 基本情報
シールガチ橋
住所 | 沖縄県島尻郡久米島町字宇根 |
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TEL | なし |
備考 | 久米島空港から車で約20分 |